ウイスキー好きの"今夜も飲む!"

ウイスキーとその蒸溜所を愛し、年間10回以上蒸溜所を訪問。ウイスキーの良さと蒸溜所見学の楽しさを皆様に知っていただきたいと思います。2019年、ウイスキー文化研究所認定ウイスキープロフェッショナル取得。

タグ:マルス信州蒸溜所

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☆KOMAGATAKE SINGLE MALT
 IPA CASK FINISH
 Botteled in 2020
 南信州ビール×駒ヶ岳

 度数:52.0%
(状態) 開封後数週間以内/残量:80%程度/蒸溜所にて

(テイスティング)
香り:
レモンのフレッシュ感、フレッシュフルーツのエステリー、優しいバニラ、浅く焙煎したナッツ、リンゴ農園の香り、バタースカッチ、ほんのりとホップのアロマ、甘みを伴うモルト、過熟な果実の甘い風味も漂う。

味:
優しいホップの風味、程よいタンニン、ローストナッツ、乾いた樽香、乳酸の酸味、プレッツェルの香ばしさ。柑橘のオイル。終盤はホワイトペッパーのスパイシー、柔らかいバニラ、仄かにボタニカルまたはレモンピールのビター感。フィニッシュは比較的穏やかに、暖かさが程よく長く続く。

感想:
思った以上に良く纏まっており、美味しく飲める一本。複数樽バッティング・加水品であるためか強烈な個性は求められないものの、樽感・ビター・ホップ由来のアロマ、フルーツがバランスよく現れる。加水するとビターとウッドが浮き、IPA感が強まるが、決して嫌みではない。

評価:
3~4(日飲みできるレベル~ゆっくり楽しめるレベル)

コスパ:値段相応

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マルスウイスキーから先日発売された、シングルモルト駒ヶ岳のIPAカスクフィニッシュ品。前回のシングルカスクから打って変わり、今回は複数樽をバッティングし加水調整したものとなりました。

フィニッシュに使用されている樽は前回のシングルカスク駒ヶ岳IPAカスクフィニッシュ同様、同敷地内の南信州ビールのIPAの熟成に使用されていたもの。

味わいではシングルカスクほどのIPA感ないしホップ由来のアロマ感は感じられないものの、バーボンカスク由来と思わしきクリーンなフルーツ香とバニラ香の合間に程よくホップが見え隠れする印象でした。

また口当たりは加水の具合も相まってか非常にソフト。味わいではよりファッティな印象が増しつつ、酸・苦のバランスとスパイシーのアクセントが効いた仕上がり。概ね香りと味わいで大きく乖離なく、突出した部分には欠けるものの安心感ある雰囲気でした。

加水ではややホップの香りとウッディさが浮き上がる印象で、若干不安定に感じましたが、嫌味のある部分は思いの外感じられなかったので、ハイボールなどには案外馴染むのかもしれません。

シングルカスクではない分、味わい的にもお値段的にもピーキーではなく、非常にライトに手軽に楽しめる1本かと思います。今後もシリーズが続けばいいなぁ…

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☆MARS MALT Le Papillon
 クモマツマキチョウ
 Singlu Cask Single Malt
 Distilled:Nov.2015
 Botteled:Jun.2020
 ボトリング本数 643

 度数:58%
 樽種:Sherry Butt
(状態) 開封時期不明/蒸溜所にて

(テイスティング)
香り:
過熟のブドウ、スイートなデザートワイン、濃厚なドライフルーツ、フルーツソース、やや刺激的なウッディとアルコール感、洋梨のフレーバー、ピーチやプラムのニュアンス、全体的にクリアなスイート感。

味:
口に含んだ瞬間に強めな刺激。真新しい木材のウッディ、ビターを伴うタンニン、焙煎したモルト、挽きたてのコーヒー。中盤以降はスイートなレーズン、バタークリーム、マロングラッセ、ラズベリー、洋梨のジャム。フィニッシュは短く、淡泊な印象。ドライに切れ上がりながら、ドライフルーツと黒蜜のスイートが残る。

感想:
香り・口当たりともに若い原酒故の刺激と、樽由来のウッディがかなり強い。しかしながら全体的にスイートで癖が少なく、時間を掛ければ案外楽しめる印象でもある。特にドライフルーツの風味はかなり濃厚でスイート。また、それ以外にも洋梨を思わせるエステリーや、乳製品のようなファッティさも感じられ、決して単調なシェリーカスク味にはなっていない。加水すると刺激は多少緩和されるが、一方でタンニンやビターが強調され、隠れていた硫黄の香りが現れてしまう。ストレートで時間を掛けて楽しむのが無難。

評価:3(可も不可もなし)

コスパ:値段相応~やや悪い

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マルスウイスキーが不定期にリリースしているル・パピヨンシリーズ。

ル・パピヨンはマルス信州蒸溜所で蒸溜されたウイスキーをシングルカスクでリリースしている一連のシリーズ。2016年から始まったこのシリーズも本ボトルで9本目。遂に大台が見えてきました。

そんなル・パピヨン第9弾はシェリーバットを信州で熟成した5年物。信州熟成のシェリーカスクというスペックは、本シリーズ初登場だったりします。ついでに、復活後の原酒を使ったリリースとしても、シェリーカスク単体でのリリースは結構レアケース。

尚、原酒のタイプは2014年から仕込みを開始したノンピートタイプとなっています。

個人的意見として、マルス信州の原酒は概ね6~7年物ぐらいからポテンシャルを発揮してくる印象。それ未満のものでは若さが先立ち過ぎてしまい、または樽感が目立ってしまうような気がします。そして本ボトルはその6~7年を下回るもの。

試飲前は少々の心配がありましたが、実際飲んでみるとこれが案外GOOD。

香りも味もそれほど嫌味が無く、たしかに原酒の若い感じと樽感の強さは伴うものの全体的にスイートでフルーティ。しかもシェリー樽に特徴的なニュアンス以外にも、マルス信州らしい木の実系エステリーとファッティが活きている印象で、悪くありません。

ただ、やはりというか当然というか、味わい全体は濃いめで強めなので、ずっと飲んでいられる程やさしくなく、また加水で少々ネガティブなニュアンスが浮き出てしまうため、厳しめですが評価「3」と表記しました。

しかしながら、なかなかリリースの機会の無かった信州のシェリーカスクであることに加え、これまた近年から仕込み始めたため出番の少なかったノンピート原酒、そして現行(復活後)のマルス信州では比較的長い酒齢となる5年熟成ということで、試す価値は大いにあるボトルかと思います。

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☆MARS WHISKY 浅葱斑
 Blended Japanese Whisky
 AGED 8 YEARS
 2020 Limited Release
 度数:48%
(状態) 開封後数日/蒸留所にて

(テイスティング)
香り:
オーク材のウッディ、熟成庫の樽香、ふんわりとしたバターケーキ、桃のジャム、プラム、グレーン由来のスイート、ゆで小豆、バニラ、仄かにシトラスのピール、漢方を思わせるボタニカルなニュアンス。

味:
軽快な口当たり。柑橘のピールを思わせるビター、乾いた針葉樹の木材、プラム、土蔵の中のような土っぽさ、バタークッキー、バニラフレーバー。終盤からグレーン原酒らしい穀物のスイート。フィニッシュにかけて乾いたウッディと穀物のスイート、クローブのようなオリエンタルスパイスが交じり合い、ゆっくりと消える。後味にはボタニカルなビターテイストが残る印象。

感想:
程よい熟成感とマルス信州のモルトらしさが現れ、予想以上に良く纏まっている。特に香りはウッディさとスイート、ふくよかさのバランスが良く、なかなかの出来。味わいもややライトで単調気味ながらバランスを崩さず、口当たり軽く飲みやすい。何よりグレーンが出過ぎず、モルトの下支えとしてしっかり機能しているのが良い。加水ではファッティさとビターなウッディが強調されるが、悪印象はない。

評価:3~4(日飲みできる~ゆっくり楽しめるレベル)

コスパ:良い~値段相応

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この度創業35周年を迎え、製造棟およびビジターセンターの全面リニューアルを果たしたマルス信州蒸溜所。

その記念として数量限定でリリースされたのが本ボトルです。

ラベルに描かれているのはボトル名称の由来でもある「浅葱斑(アサギマダラ)」。アジア圏の大陸および日本に分布し、長距離を飛行移動する蝶として有名です。

実はマルス信州蒸溜所のある上伊那郡宮田村にも浅葱斑は飛来し、観光の目玉ともなっています。

そんな地元に馴染みのある蝶をラベルとした本ボトルは、マルスでは数少ないオールジャパニーズを標榜したブレンデッドウイスキー。それも年数表記としては操業再開後の最長熟成年数に匹敵する8年表記となっています。

使用されているモルト原酒は逆算すれば判る通り、旧岩井式ポットスチルで蒸溜した2011~2012年頃のもの。当然、再開後に製造した原酒としては最長熟成のものです。グレーン原酒は当然他社のものではありますが、かつて、操業再開と前後して国内から買い付けたものを自社で8~9年貯蔵・熟成したものとされています。つまり、蒸溜所の再開から今日までの時間をまさに一緒に過ごしてきた原酒たちが使われている訳であって、そういった意味でもアニバーサリーにふさわしく、なかなか贅沢な逸品と言えます。

さらにモルト原酒も従来品に比べて多い割合で使用され、度数もやや高めに設定されています。アニバーサリーを祝したリリースとしては十分すぎるスペックかもしれません。しかもマルスのブレンデッド限定品として飛び過ぎない価格設定。結果、相対的にとはいえ、なかなか満足度・コスパ高めなボトルとなっています。


さて、実際に味わった感想ですが、香り・味ともにモルト原酒由来のニュアンスが主体な印象。グレーン原酒の要素は、その使用割合と熟成年数のおかげか下支えに徹しており、主張せずともしっかりと仕事をしているなぁという感じでした。

うん。良いねこれ。


8年熟成と、他と比べればまだまだ若い部類に入る原酒を使用していながら、若いネガティブな部分はおおよそ気にならず、しかししっかりとモルトが活きています。特にバターケーキやクッキーのような心地よい穀物感とファッティの合わせ技はかなり好印象。ピート感も上手くこなれ、土っぽさが良いスパイスとして効いています。

多少のビター感とやや主張のあるウッディが一瞬気になりましたが、グレーンの甘さと風味が上手くフォローしてくれているようで、嫌味に感じることはありませんでした。勿論、グレーンの甘さが際立つ感じでもなし。ホントいい具合です。

失礼を承知のうえで言うと、正直なところマルスのブレンデッドに対して一定以上の期待はこれまで抱いていませんでした。そして実際に飲んでみた感想としても一線を画すほどの出来を感じたことはなく、良くも悪くもない中頃の出来、といったイメージだったわけです。

今回もリリース情報からスペックは知っていたものの、まあ一回飲めればいいか程度に考えていた訳なのですが、いやはやびっくり。思いの外な良さに驚いた次第です。

無論、原酒の豊富な大手国内メーカーや歴史の長い海外ブランドに及ばない部分は当然ながらあるのですが、こういう出来の商品を出せるということは、今後のリリースに大いに期待が持てる訳で、いちファンとしては大変嬉しい1本でした。


尚、詳細なスペックや考察、マルスウイスキー史に関してはこちらの動画が詳しいので、興味のある方は一見の価値ありです。

Youtube:SILKHATチャンネル
MARS WHISKY 浅葱斑・テイスティング動画(前編)
MARS WHISKY 浅葱斑・テイスティング動画(後編)

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☆駒ヶ岳 KOMAGATAKE Limited Edition 2020
 度数:50%
 樽種:シェリー樽、アメリカンホワイトオーク樽が中心
(状態) 開封後1週間以内/蒸溜所にて

(テイスティング)
香り:
若木のような青さを伴うウッディ、ドライフルーツのスイート、和山椒のニュアンス、リンゴのコンポート、ビターを伴うレモンピール、柑橘の爽やかな風味、青梅や未熟なプラム。スワリングすると次第に粉っぽい穀物感やナッティが現れる。仄かにスモークが漂う。

味:
ビターを伴うウッディ、控えめにシロップのスイート。中盤から徐々にタンニン、梅の種、バニラ、柔らかいエステリーなどが開く。控えめながらドライフルーツもある。フィニッシュはタンニンとビターなウッディ、リンゴを思わせる柔らかいエステリーが重層的に伸びる印象。アフターテイストで仄かに土っぽさとバルサミコ。全体的にビターでドライ寄り。

感想:
全体を通してビターな風味・味わいが支配的ではあるが、悪目立ちする要素も無く、落ち着いていて飲みやすい。シェリー樽由来の風味よりもアメリカンホワイトオーク樽のニュアンスが強い印象で、マルス信州のモルトに特徴的な風味(プラム、リンゴのエステリー、ウッディ等)もしっかりと出ており、悪くない。加水するとウッディがより薫り高く広がる。

評価:3(可も不可もなし/日飲みできるレベル)

コスパ:値段相応~やや悪い

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毎年恒例のマルス信州発の駒ヶ岳リミテッドエディション。

今年はシェリー樽とアメリカンホワイトオーク樽の原酒をメインにバッティングしているとのことですが、実際に味わってみるとシェリー樽の要素は相当控えめに感じられました。どちらかといえばアメリカンホワイトオーク(新樽)の風味が支配的。

全体的に見ると、味わいの方向性として比較的ビターに寄っており、この辺りもおそらく新樽の要素が強く出ている証拠なんじゃないかなぁ…と思っている次第です。

しかしビター主体と言っても決して悪い印象は無く、どちらかというと落ち着きのある感じで、加えてマルス信州のモルト原酒らしい要素もしっかりと持ち合わせた、駒ヶ岳のスタンダード品らしい仕上がりでした。

しかしやはり惜しむらくは価格面。まだまだ安定供給の難しい状況であることは承知のうえなのですが、もうちょっと落としていただけると有難いなぁ…なんて思ったり思わなかったり(汗

さて、本ボトルを以て駒ヶ岳リミテッドエディションは3年目となります。毎年毎年バッティングの内容、特に軸となる原酒の樽種を変えながら続いているこのシリーズは、いつの日かリリースされるであろう定番品シングルモルト駒ヶ岳のプロトタイプともいえます。

そしてあくまで主観ではありますが、リリースの度に味わいの良さがアップしているように感じています。それは使用できる原酒の酒齢が上がってきていることは勿論のこと、製造スタッフの方々のブレンド技術が向上している証拠でもあります。ということは今後どんどん製品の品質が上がっていくという期待が出来るわけでもあって、とにかく成長株であり続けてくれることは、いち飲み手にとって本当に有難いことな訳です。これからも変わらず頑張っていただきたいですね。

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☆Single Cask 駒ヶ岳 
 MINAMISHINSHU BEER
 IPA CASK FINISH
 Distilled 2016.2-3 Bottled 2019.10
 度数:59%
 樽種:Bourbon Barrel
(フィニッシュ:IPA CASK)

(状態) 残量:80%程度/蒸溜所にて

(テイスティング)
香り:
かなり明確にホップのアロマ、ボタニカルな風味を伴うビター、レモンピール、柔らかめなウッディ、甘さを伴うエステリー、僅かにトロピカルフルーツのスイート感もある。経時的にホップの風味はこなれてゆく印象。アルコール感はやや刺激的。

味:
口に含んだ瞬間からIPAらしいホップとボタニカルなビター感が入り混じる。続けてタンニン、松ヤニを思わせるオイリー、モルトの香ばしさ。中盤からはマンゴー等のトロピカルフルーツも感じられる。経時的にオレンジのシトラスフレーバーやバニラも現れる。
フィニッシュはほろ苦いビター感とボタニカルのアロマ、トロピカルのフレーバー、少しクリーミーな穀物感が中くらいに続く。全体を通して多少のニューポット感も感じられるが、ホップの風味とビターが上手に覆い隠している印象。余韻はドライ。

感想:
最初はホップの香りに圧倒されるが、時間を掛けることで様々な香りが開き、驚くほど楽しめる。熟成年数なりの若さも内包していると思われるが、ホップの風味とビターテイストが絶妙にカバーしており、そのためか若いながらもバーボンカスク由来と思わしきトロピカルのニュアンスが出現。ボタニカルな風味と相まって美味しく仕上がっている印象。ただ、アルコール感はキツめ。尚、加水には耐えられず、ビターな部分だけが強調されてしまう。

評価: 3~4(日飲みできる~ゆっくり楽しめるレベル)

コスパ:やや高額だが納得

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今年の初めにマルス信州蒸溜所ショップ限定で発売されたボトル。

先日、越県が可能になったタイミングに訪問したマルス信州蒸溜所で久々に味わってきました。

フィニッシュに使用されているのは、同敷地内にて操業しているクラフトブリュワリー:南信州ビールのIPAを仕込んでいた樽。フィニッシュの期間は、記憶が確かなら数か月単位で行ったとのことなので、メインの熟成樽であるバーボンバレルにて約6年熟成されていたと考えられます。尚、IPAカスクに入っていたIPAは樽詰め時にホップを相当量追加した物だったらしく、その樽でフィニッシュした結果、スタッフの方々も驚くほどのホップ風味のウイスキーになったとのこと。

実際最初に飲んだ時はその鮮烈なまでのホップの香りに圧倒されました。が、しかし、香りが飛ぶのか自分が香りに慣れるのか、経時的にどんどんホップが気にならなくなり、それどころかバーボンバレル由来と思わしきトロピカルフレーバーが現れ、一気に味わい豊かに変貌。ホップからくるボタニカルな風味やビター感と相まって非常に楽しめる一本でした。

尚、使用されているモルトは3.5ppmのライトリーピーテッドタイプ。…ですが実際の味わいや香りにそれが反映されている雰囲気は殆どなく、言われなければわからないレベルだったように思います。また、原酒の若さからくるニューポット感も多少感じられるものの、気になりそうな部分はすべからくホップがカバーしてくれている印象でした。正直、結構良い感じの出来かと思います。

マルス信州蒸溜所と南信州ビールはお互いに別会社でありながら同敷地内で操業。マルス信州を所有している本坊酒造が南信州ビールの出資者のひとつだったり、前蒸溜所所長の竹平さんが現南信州ビール常務だったりと、いろいろと深い繋がりを持つ企業だったりします。
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今回の駒ヶ岳IPAカスクフィニッシュは、まさにその繋がりが生んだ逸品。コラボレーション商品なわけです。そして勿論、南信州ビールからは逆バージョンともいえる「南信州ビールIPA 駒ヶ岳カスク」がリリースされており、こちらも味わい豊かで美味しい仕上がりとなっています。機会があったら是非お試しあれ。

尚、マルス信州蒸溜所では南信州ビールの樽を使用した製品の開発を、今後も随時行っていく予定とのことです。次なるリリースが待ち遠しいですね。

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☆Single Cask 駒ヶ岳 AGED 6 YEARS
 Distilled 2013.3 Bottled 2019.10
 度数:59%
 樽種:Madeira Cask
(状態) 開封直後/残量:90%程度/自宅

(テイスティング)
香り:
リンゴジャム、レーズンバター、カラメル、仄かにカカオ、梅酒、バゲッドやラスクのような香ばしさ。

味:
序盤からしっかりとしたオーク様のウッディさ、タンニンが感じられる。スイートで、ボディもそれなりにしっかりした印象。中盤にはカスタードクリーム、または卵成分の多いプリン。濃厚なベリーのソース。終盤にかけてレーズン等のドライフルーツ、プルーンのジャム、僅かに硫黄っぽさも感じる。少々灰っぽいピーティさも。フィニッシュはハイカカオチョコのようなビターと控えめなスモークが長く続く。後味でやや強いエグみが残る。

感想:
樽由来の比較的しっかりとしたウッディと、フォーティファイドワイン樽らしいベリーとドライフルーツ感、およびカスタードクリームを思わせるクリーム感に控えめなピートが程良いスパイスとなって、重層感のある、なかなか楽しめる味わいに纏まっている。若干のエグみが気になるところだが、問題になる程ではない。加水すると、ややドライな方向にシフトする。


評価: 4(ゆっくり楽しめる)~
5(非常に美味しい)

コスパ:値段相応
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この春先に発売された駒ヶ岳のシングルカスクエディションの1本。もう1本は91年ヴィンテージの28年物でした。

この新旧合わせたシングルカスクリリースは昨年同時期にも行われています。折しもそれは日本におけるウイスキー・スピリッツを対象とした初のコンペティション、TWSCの開催に合わせた形となりました。結果は、見事に2本とも最高金賞を獲得。

そして今年もやはりTWSCを見据えたリリース。が、残念ながら開催は5月に先送りに。ジャッジは先のお楽しみ。

さて肝心な味わいの方はというと、やはりコンペの出品を前提としたであろうセレクトなだけあって、多少のエグみを伴いながらも重層感のある、非常に楽しめる味わいとなっていました。尚、マデイラカスク単体でのリリースは(おそらく)今回が初。

正直、信州蒸溜所のメインとされるバーボンカスク、ないし最近リリースの多い新樽熟成の原酒に比べると、シェリーカスクはじめ、ワイン系カスクの原酒に関しては少々期待値が…というのが従来の感想でした。が、このボトルはそんな心配を見事に払拭してくれる出来でした。

正直、これはなかなか良いな、と。


個人的に信州の原酒は概ね6年以上の熟成でポテンシャルを発揮してくる印象。特に近年リリースのボトルでは「マルスモルト ル・パピヨン ギフチョウ」にて、それを実感しました。

本ボトルのヴィンテージは2013年。この年はマルス信州蒸溜所が2011年に復活して以降、原酒製造の方向性が定まり、いよいよ本格的・安定的にウイスキー製造に着手しはじめた時期と聞きます。尚、2013年以降は製造量的にも増産の方向にシフトおり、貯蔵されている原酒の量的にも余裕の出始めるヴィンテージかと思われます。
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さて、自分の考察が正しければ、今後、再稼働後の原酒で熟成期間6年以上の、品質的にも比較的安定した、美味しいウイスキーが登場する機会が増えると勝手に予想。今後に期待が膨らむところです。

〇 ライトで飲みやすい味わいの駒ヶ岳。
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☆駒ヶ岳 KOMAGATAKE Limited Edition 2019
 Single Malt Japanese Whisky
 Non-Cill Filtered
 度数:48%

(状態) 開封直後/残量:90%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
ピノー・デ・シャラントのような濃密な甘い香り、アンズ、リンゴ、新品のレザー生地、紅葉の森林を感じさせる湿ったウッディ、薄っすらとシナモンやナツメグも香る。奥行きはそこまで無いが、スイートでやさしく好印象。スワリングするとミントのような青い香りが立つ。乳酸っぽい酸味もある。

味:
やや強めな渋み、ほんのりと甘く、やや単調な雰囲気。序盤~中盤では焼き菓子、リンゴの皮、レザーの香り。最後に少々モルトの香ばしさを感じる。
フィニッシュは中程度であっさり軽め。余韻ではリンゴや和梨の後味を思わせる風味。加水でビター、モルティ、酸味が現れるがボディは折れてしまう。加水には耐えられない様子。

感想:
ライトかつシンプル。香りでは特にトップノートで甘く濃密な印象。次第にシナモンやナツメグといったスパイス、晩秋の森の香りといった要素も現れ、なかなか良い印象。
一方で味わいの方は、やや単調。甘さやコクといった要素は非常にライトで控えめ。ウッディな渋みが目立つ印象。香りの期待からは少々ハズれる印象だった。ただ、特にネガティブな要素は感じられず、日常で飲む分には差し支えないかと思う。また、ややハイプルーフな設定であるものの、加水ではあまり伸びず。ロックやハイボールよりもストレートが推奨される印象。もう少しリーズナブルならば…。

評価: 3 (可も不可もなし/日飲みできるレベル)

コスパ:やや悪い

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マルスウイスキー(本坊酒造)より年に1回リリースされるシングルモルト駒ヶ岳のイヤーリミテッドエディション。その2019年版のボトルです。

裏ラベルおよび既出の情報によると、信州蒸留所のバーボンカスク原酒を中心にバッティングしたものだそう。

香りではバーボンカスク由来らしい、スイートなフルーツ&オリエンタルスパイスが存在。かなり濃密な甘いニュアンスを感じたものの、味わいではもう一つ。加水にも弱く、ハイボールだとちょっと物足りない感じ。一方で棘の少なくスイート方面な味わいはビギナー含め万人に向く、無難な味わいといった印象です。

使用されている原酒は勿論、マルス信州蒸溜所のもの。マルス信州蒸溜所の原酒はバーボンバレル熟成主体で、実際の酒質もバーボンバレルとの相性が最も良いとのこと。今回のリミテッドエディション2019は若々しいながらも、信州原酒の“良さ”をそれなりに体現できているような気がします。ただ、如何せん熟成年数が足りないようで、味わいの厚みには欠けている様子。今後のリリースで味わいが如何に深化するか、注目していきたいと思います。

2018年より続くこのリミテッドエディションは今後の定番リリースの布石の一つ。原酒の供給・品質が安定すれば、待望の定番品「シングルモルト駒ヶ岳」がリリースされることでしょう。

それまでは首をながーくして待つしかないですね。

〇 成長を見せた信州の原酒。ウッディな味わいが好印象な1本。
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☆MARSMALT Le Papillon ギフチョウ
 Single Cask Single Malt Japanese Whisky
 Distilled and Matured at Mars Shinshu Distillery
 Distilled:Jan.2013  Botteled:Apr.2019
 度数:58%、
 樽種:アメリカンホワイトオーク(新樽)


(状態) 開封直後/残量:90%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
プラム、カカオやエスプレッソに近いほろ苦さ、湿り気のある木材のウッディネス、木酢や柿渋、過熟のリンゴ、クローブ、鰹出汁を思わせるニュアンスも。まだ若々しいニューポット感も残っている。

味:
オーク材のウッディで芳醇な香り、控えめで上品な甘さ、樽熟の梅酒または完熟のプラム、ハイカカオのビターチョコレート、クローブやオールスパイスのような甘くウッディなスパイス香、終盤で少々アルコール刺激があるが、度数ほどではない印象。もみ殻のような香ばしさ、梅の種の部分のような青っぽさも感じられる。フィニッシュはやや短めで穏やか。ミドルボディ程度ながら、熟成感も感じられる。

感想:
香りではやはりニューポット感が否めないものの、全体的にウッディで上品な印象。カカオのような香ばしさとともに、クローブを思わせるスイートなスパイスが心地よく、しつこい甘さや強すぎるビターも無く、予想以上に楽しめる味わい。加水でややボディ感が崩れる印象だが、ウッディな香りがよく広がる。6年熟成ながら、決して悪くはない完成度。

評価:4(美味しく感じる/ゆっくり楽しめるレベル)

コスパ:やや悪い

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マルスウイスキーのシングルカスク限定ブランドであるル・パピヨン。

ラベルに信州の野山に生息する蝶を描き、2016年よりリリース開始。第1弾はオオルリシジミ(アメリカンホワイトオーク新樽、4年熟成)、今作のギフチョウは第7弾にあたります。

原酒はライトリーピーテッドタイプで、樽はアメリカンホワイトオーク新樽。熟成期間は6年となっています。


本シリーズでリリースされる原酒は、現在のところ基本的に2011年の再稼働後の原酒に限られており、どれも若々しいニューポットの印象が強いことが特徴。シングルカスク故希少性は高いものの、ニューポットの刺々しさが先行し、シンプルに味を楽しむには少々難があるイメージでした。

一方で、シリーズを重ねるにつれて熟成期間が長いものがリリースされるようになり、信州蒸溜所の原酒の成長を体感できる、一種の物差しとしても楽しむことができるという、マニアには堪らないシリーズでもあります。ただ、アウトターンの少なさや価格設定の高さからなかなか入手が難しく、またバーでも遭遇の機会に恵まれない(特に首都圏以外)ことが少々難点ではあります。

さて今作ギフチョウですが、シリーズとしては最長熟成の6年物(信州の貯蔵庫で熟成)。前々作のミヤマカラスアゲハ(信州4年熟成原酒)が比較的ニューポット感が強く、若々しい印象だったのに対して、今作ではしっかりと熟成感を感じられ、最初に飲んだ時は予想以上に良い出来だったことにかなり驚いた記憶があります。
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今回改めてテイスティングしましたが、やはりこれまでで一番飲みやすく、樽感・酒質ともに纏まってきているなーという印象。たった2年の熟成期間の違いで(勿論他の要素も多分にあるとは思うが)これ程までに変わるものかと感心した次第です。

私感ですが、再稼働後のマルス信州の原酒は、最初のピークが10年前後に来るのではないかと勝手に予想。ニューポットの棘が取れ、ウッディなニュアンスと良い釣り合いが取れるのではないかと考えています。
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ともあれ、今後の信州蒸溜所原酒の成長に大いに期待をさせてくれる良ボトルでした。

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