ウイスキー好きの"今夜も飲む!"

ウイスキーとその蒸溜所を愛し、年間10回以上蒸溜所を訪問。ウイスキーの良さと蒸溜所見学の楽しさを皆様に知っていただきたいと思います。2019年、ウイスキー文化研究所認定ウイスキープロフェッショナル取得。

タグ:ボトラーズ

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☆JURA AGED 26 YEARS
 HUNTER LAING
 ARDNAHOE DISTILLERY THE KINSIP
 One of 254 bottles

 度数:52.7%
 樽種:リフィルホグズヘッド
(状態) 開封直後/残量:90%程度/イベントにて

(テイスティング)
香り:
バナナフレーバーのケーキ、セメダインを思わせるケミカルなエステリー、青りんごフレーバー、青みを伴う穀物、塩ビのパイプ、僅かに磯の香り、オレンジやレモンのピール、フルーツのビネガー。

味:
ハニーシロップのスイート、アプリコットやリンゴのジャム、仄かにベリーのような風味、控えめに乾いたウッディ、レモンのピール、白い花のフローラル感、やや粉っぽいモルティ、ケミカルなエステリー。フィニッシュはエステリーと独特な磯の香り、少々のビターが中くらいに伸びる。アフターテイストにはライムのような柑橘が残る。時間経過でピーチやトロピカルフルーツのフレーバーも現れる。

感想:
全体的に棘が無く飲みやすいが、香りの面で少々ケミカル系エステリーの押しが強く、ビニールのような印象まで感じられた。時間経過でピーチやトロピカルフルーツのソフトな風味が出現。開栓すぐだったので、まだまだ開いていない様子だった。暫く置くことで真価を発揮しそうな雰囲気。ケミカルな部分も和らぐのではなかろうか。また、オイスターのような独特な磯の風味は、好き嫌いが分かれそう。加水で穀物感がよりクリーミーに変わる。

評価:3~4(可も不可もなし~ゆっくり楽しめるレベル)

コスパ:やや悪い

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近年創業のボトラーズながら既に高い知名度を得ているハンターレイン社。

アイラ島9番目の蒸溜所であるアードナッホーを創業したことでも知られています。

そのハンターレイン社が、件のアードナッホー創業を記念して発売したシングルモルトシリーズが「ザ・キンシップ」です。

「キンシップ」とは「親族」や「血縁関係」など親密な繋がりを意味する言葉だそう。ハンターレイン社が自社ストックの原酒からの選りすぐりをボトリング・リリースしたもので、かなりハイエンドな仕上がりになっているとのことでした。

実際、価格設定もかなりアッパーであり、今回のようなイベントでの試飲でなければちょっと手が出ないところでした。

尚、このジュラ26年はザ・キンシップの2018年リリース時の1本にあたり、他にはハイランドパーク21年、スプリングバンク25年、ボウモア21年、ブナハーブン30年、ラフロイグ20年といった錚々たるメンツが揃っていました。

そんなアッパーなクラスの本ボトル。リフィルホグスヘッドらしい、クリーンで角の無い味わいがとても良い…はずだったですが、少々ケミカル系エステリーが強すぎる感があり…。その強さたるやフルーツフレーバーを通り越してビニール系に至り、個人的には配管の塩ビパイプを連想するほどでした。

これ以外はアッパーグレード品だけあってかなり優秀で、特に時間経過で開いてくるピーチやトロピカルは結構いい感じ。オイスター的磯っぽさは、ジュラらしさと取れれば寛容できるレベル(好き嫌いは出るとは思いますが…)。纏まりも悪くなく、なんとも惜しい印象でした。

まあ、開栓ほぼ直後でしたし、時間経過で強いフレーバーがこなれ、開いていなかった部分が表出すればもっと良い、値段に敵った味わいに変わることでしょう。そのあたりも含めて良い勉強になった1本でした。

こういう良いボトルがリーズナブルに試飲できるのもイベントならではの楽しみ。

以前と同じ…には戻せないんでしょうけども、願わくば形を変えてでも定番イベントは復活してほしいところです。

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☆Secret Speyside Distillery No.2
 1998 Aged 20 years
 Hemp Sparrow 五筒
 度数:49.8%
 樽種:Bourbon Barrel
(状態) 開封直後/残量:90%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
花の蜜、クリーンなエステリー、溶剤、塗装したての木材、少々粉っぽいモルティ、アップルシロップ、キウイフルーツ、スワリングするとココナッツオイルを主体としたナッティが現れる。

味:
リンゴのコンポート、少々のビターを伴うウッディ、少々の生木っぽさ、香ばしい穀物も。全体を通してややケミカルな(セメダインや青りんごのガムのような)エステリーが漂う。わずかながらナッティやバタークッキーも感じられる。フィニッシュはビターとモルティが交じり合いつつ、じんわりと染みる印象。ややドライ気味でもある。後味にはスミレを思わせるフローラルが残る。度数なりのアルコール刺激。

感想:
ややケミカル方面のエステリーが主体な印象。またウッド感も意外と強い。全体的には比較的シンプルで素直なイメージ。程よく果物、程よく華やか、程よくビター。加水するとエステリーが多少抑えられ、ピーチやオレンジの風味が顔を出す。

評価:3(可も不可もなし/日飲みできるレベル)

コスパ:値段相応~やや悪い

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ウィスク・イーから不定期にリリースされているボトラーズシリーズ、ヘンプスパロー。

ヘンプ(麻)スパロー(雀)ということで、麻雀牌をモチーフにしたラベルが印象的な、そのコレクション性から非常に人気の高いシリーズであります。今回のラベルは五筒(ウーピン)。

蒸溜所は「シークレットスぺイサイドNo.2」表記ですが、「創業1824年」、「スコットランド初の政府登録蒸溜所」などのヒントからグレンリベットであることがわかります。(同シリーズにおけるシークレットスぺイサイドはNo.1(No.表記なし)がグレンロセス、No.3がマッカラン)

本シリーズでは短熟~中熟程度のシングルモルトまたはブレンデッドモルトがリリースの主体(アメリカンやラムも出ましたが…)で、比較的安心して飲める、中庸な味わいのものが多い印象。また中庸ながら、それぞれの蒸溜所「らしさ」もちゃんと感じられる原酒のチョイスになっているように思います。

今回のシークレットスぺイサイドNo.2も、バーボンカスクのグレンリベット「らしさ」が生き、棘が無く、飲みやすい味わい。やはり安心感は大事ですね。

尚、麻雀牌の数牌は一から九。筒子(ピンズ)は既に八まで発売されました。他の牌も既に後半戦。さて、どのように締めくくられるのか、楽しみですね。

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☆TORMORE Distilled 1988
 THE TASTER
 AGED 28 YEARS

 度数:49.3%
 樽種:バーボン樽
(状態) /残量:60%程度/バー飲み

(テイスティング)
香り:
濃くて押しの強いモルティ、やや青くて素朴な雰囲気の穀物感、芋羊羹、白桃シロップ、やわらかいハーブの風味。

味:
桃の缶詰、ドライマンゴー、ライチ、ビターも伴う。透明感のスイート、オレンジオイル、香ばしい穀物感、干し草っぽいニュアンス。フィニッシュはドライ寄りだが、フルーティーな甘さも感じられ、長く伸びる印象。

感想:
香りではモルトの穀物感が先行、味はもっぱらフルーティ。穀物感の部分は少々野暮ったくもっさりした印象。味わいがとにかくフルーティ押しで、フルーツのコンポートやシロップを口に含んだようなジューシーな、それでいて透明感の伴うスイートが魅力的。口当たりは度数相応で強くも弱くもない。加水すると曇った穀物感が前面に出、僅かにインクのようなニュアンスが現れる。

評価: 4~5 (ゆっくり楽しめる~非常に美味しい)

コスパ:値段相応~良い

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トーモアはシーバスブラザーズ傘下の蒸溜所で、主にバランタイン等のブレンデッド用原酒として供給されています。また、シーバスブラザーズ傘下の中では、おそらくトップレベルのマイナー蒸溜所で、オフィシャルボトルのリリースは一応あるものの非常に少なく、国内の一般市場で手に入るオフィシャルボトルは殆ど無い印象。いち飲み手としては、ほぼほぼボトラーズ頼りの蒸溜所なわけです。

しかしながらそのボトラーズでのリリースも決して多いわけでなく、目を引くこともなかなか多くないためスルーしてしまいがち。特別目に付いて購入しない限りはバーでの出会いがしらに期待するしかないのですが…今回はそんな出会いがしらで出会ったトーモアなわけです。

このTHE TASTERは、日本のウイスキー専門インポーターであるスコッチモルト販売からリリースされたシリーズ。

味わいとしては、他のシーバス傘下ブレンド供給用蒸溜所のモルトに散見される野暮ったいモルト感と透明感のあるフルーツの甘みが主体。細すぎず太すぎずな口当たりで、思った以上に抵抗なく飲める印象。

特別何か飛び抜けたニュアンスも、深い重層感もありませんが、無難に、そして比較的手頃に飲める綺麗な近年スぺイサイドモルトとしては、大変うれしい1本でした。

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☆ROSEBANK 1990
 SIGNATORY VINTAGE LOWLAND
 Aged:16 Years
 Distilled on:22.06.1990 Bottled on:14.02.2007
 
 度数:43%
 樽種:Hogsheads Cask Nos:1514+15
(状態) 残量:20%程度/バー飲み
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(テイスティング)
香り:
透明感のあるエステリー、桃のコンポート、洋梨のフレーバー、柔らかいフローラル、奥の方に少しくぐもったモルト、僅かながらビターを伴うウッディもある。

味:
柔らかいビター、乾いた穀物または籾殻、やや粘性を感じるスイート、緩みを感じるフローラル。終盤には青みを伴うモルト、若干のメタル。洋梨に近いフルーツのエステリーも感じられるが、極めて控えめ。フィニッシュにはモルティとフローラルが残る。

感想:
香りではピーチや洋ナシなどのエステリー、味わいはシロップのようなスイートとモルト、フローラルが主体な印象。加水されているためか、口当たりはソフト。フローラルの部分はもう少しで柔軟剤や石鹸、パフュームに転じそうな危うい香り…。若干の金属臭が気になるが、悪くはない。特に突出した要素はなし。安定した味わい。

評価:3(可も不可もなし/日飲みできるレベル)


コスパ:良い

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閉鎖蒸溜所のなかでも相変わらず人気銘柄なローズバンク。名前がキャッチーなせいか、それとも名が体を表した(つまりバラの香りがする)わかりやすい味だからか、今もなお高騰の止まらないウイスキーのひとつです。

故に近年リリースのボトルは見つけても手が出ず、オールドボトルは機会に恵まれず、他に目移りしている間に殆ど飲んでいない銘柄となっていました。が、今回無事普通に飲めるレベルのボトルと出会い、テイスティングした次第です。

まあしかしローズバンク自体はリリースがそれほど少なかったわけでもなく、ちゃんと探せばそこかしこにあるはず…。怠慢ですねぇ;

さて、今回いただいたのはシグナトリーからリリースされたバーボンホグズヘッド熟成の16年物、2樽分をバッティングした43%加水品です。

3回蒸溜故か加水品のためか、それとも開栓後の度数落ちか、口当たりはかなりマイルドな印象。しかしながら味わいは割としっかり残っており、スイートとフローラルが心地よい印象の安定した味でした。若干青かったりメタルを感じたりもしましたが、概ね優しい味わいで口当たりも良く、悪印象は殆どありません。ただ、フローラルな部分が僅かにパフュームに傾きつつある印象。個人的には多少のソーピーやパフュームには寛容ですので、毛嫌いするほどではありませんが、これ以上傾くと好き嫌いの別れるものになりそうです。

まあ、なんというか、本当に凄いボトルは凄いんでしょうが、「ローズバンク」というだけで「美味い」に結びつけるのは早計というか…、他の閉鎖蒸溜所のボトルを含めて名前が独り歩きしている感は強いですね。随分今更ではありますが。

今回のボトルは良くも悪くもフラット。ちゃんと飲める味で安心感ってところでした。

さて、ローズバンクは復活のお話が出てましたがどうなったんでしょうか。まあこのご時世なので中断されているのか、それとも…。

まあ果報は寝て待つことにしましょう。

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☆BALBLAIR aged 10 years
 GORDON&MACPHAIL
 度数:43%

(状態) 開封後2年程度/残量:40%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
スイートなモルトの香り、青リンゴを思わせるフレッシュフルーツ、少しくぐもったエステル、干し草。

味:
控えめなスイートとフレッシュな酸味、はっきりとしたビターを伴うウッディ、バタートーストを思わせるオイリー、バニラクリーム、僅かに青リンゴフレーバー、全体的にシンプルにまとまっているイメージ。フィニッシュにかけて籾殻(もみがら)のような乾いた香ばしさが感じられ、比較的ドライに終わる印象。余韻もかなりさっぱり気味。少し若々しい刺激もある。ボディは意外としっかり太いイメージ。

感想:
全体的にシンプル&ドライ。樽由来のニュアンスはあまり強くなく、どちらかというとニューポット由来と思われる粉っぽいモルティと乳製品っぽいオイリーが主体。フィニッシュも短くドライでシンプル。10年物らしく若い荒っぽさも感じられる。加水すると、よりビターでモルトの香ばしさが際立つ印象。逆にスイートさは遠のく。

評価:3(可も不可もなし/日飲みできるレベル)

コスパ:値段相応~やや悪い

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ボトラーズのゴードン&マクファイル社からリリースされている、所謂蒸溜所ラベルシリーズの一本。

バルブレア蒸溜所が標榜するビターでモルティ、かつドライな味わいをしっかりと体現した味わいで、短熟らしく樽感よりも酒質由来の風味がメインなイメージです。

樽に関しては特に記載がありませんが、色・味わいからバーボン樽メインまたはバーボン樽オンリーと考えて間違いないかと思います。10年表記ながら非常に樽感がライトなことから、セカンドフィルとも推測できます。

どちらにせよ、樽由来の要素が少なく、バルブレアの原酒本来の味わいを存分に堪能できる一本。色々試す前にキャラを把握するには丁度良いかと思います。願わくば値段がもうちょい手頃なら助かるのですが…。

〇 とても良いフレッシュフルーツ感!今後の変化も楽しみなコスパの良いバーギ―
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☆Black Friday 2019 EDITION
 SINGLE MALT SCOTCH WHISKY
 FROM A SPEYSIDE DISTILLERY
 AGED 21 YEARS
 THE WHISKY EXCHANGE
 度数:53.1°
 樽種:リフィルバーボンホッグスヘッド

(状態) 開封後2ヶ月/残量:70%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
若梅を漬け込んだ梅酒、シードル、マスカットジュース、グァバ、パパイヤ、パンケーキを思わせる甘い穀物の香り、青みを伴うウッディ、オレンジソース、シナモンやナツメグのようなオリエンタルスパイス。全体的にスイートでフレッシュな印象。

味:
序盤はピーチシロップやオレンジオイル、生木のような若さを感じるウッディさ。中盤からタンニンの渋み、クリームを思わせる少しファッティなコク、柑橘類を思わせる酸味、少し青っぽさも感じる。終盤では僅かにピリっとした刺激とスパイスのニュアンスを感じる。全体的にあっさり、もしくはドライな印象。
フィニッシュは中程度で比較的ドライな印象。余韻は程良くビターで、遠くに南国フルーツの微かな香りも感じられる。加水では良い感じに伸び、プラム、グァバなどフルーツ感が増す。

感想:
香りにはフレッシュなフルーツやパンケーキ、ハチミツといったスイートなイメージが大いに感じられるが、味わいはどちらかといえばビターでドライ。加水していくと伸び、香りはフルーティに、味わいはスイートにシフトしていく。開栓間もないため、少々固いように感じる。

評価: 4(美味しく感じる)

コスパ:良い~値段相応

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英国のウイスキー販売店大手、ウイスキー・エクスチェンジ(The Whisky Exchange / TWE)がブラックフライデー(欧米圏で11月の第4木曜日の翌日)に合わせてリリースしているオリジナル・リミテッドリリースの第3弾。

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(TWE公式、ブラックフライデー:
https://www.thewhiskyexchange.com/feature/blackfriday

2017年より毎年リリースされているこのシリーズ。基本的に蒸溜所名非公開のボトルですが、商品説明欄のヒントを頼りに、簡単に特定することができるようになっています。ちなみに第1弾がグレンファークラス、第2弾がハイランドパークと考えられます。

今回は創業年(1810年)と蒸溜所の立地(フォレスとエルギンの間)がヒント、というか答え。1810年創業のスペイサイドの蒸溜所ってことでバーギ―一択なわけです。

年に一回の大規模なセールイベントであり、且つ全世界にユーザーの存在するTWEだけあって、毎年発売から1時間待たずして完売となるこのシリーズ。今年もおよそ30分程度で完売となっていました(尚、第1弾は15分も持たなかったそう…)。

個人的には初のウイスキー個人輸入だったため少々の躊躇がありましたが、バーギ―の21年、それもリフィルバーボンホグズヘッド熟成という、あまりにもドストライクなボトルだったことが背中を押し、無事手元にやってきたわけです。

中身については、まず開栓一発目にも拘わらず、はっきりと感じ取れるフレッシュフルーツ感。一拍置いてバーボン樽らしいトロピカルフルーツやスパイス、青みを伴うウッディやオレンジ、クリーミーなニュアンス等々、たくさんの香りが押し寄せてくる楽しい印象。

味わいは、若干ビター&ドライ寄りではありましたが、ちゃんとスイートなニュアンスもあり、強すぎないウッディと乾いたモルティさが下支えになり、悪くない感じでした。

欲を言えば味わいにもう少ししっかりフルーツのスイート感があればなぁ…といったところですが、そちらはまた、今後の開き方に期待ですね。

リリース本数確保のため、複数樽(今回の限定ボトル本数は1800本なので、ざっと計算9~10樽程度)のバッティングということでシングルカスクではありませんが、このスペックかつ味で手数料込み約128ドル(当時のレートで約14000円)とお値段もなかなか良心的。

ファンにとって嬉しい一本でした。

〇 少々オーキーで、ビター感の強いマッ〇ラン
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☆The Finest Speyside AGED 29 YEARS
 Distilled in 1988
 Distilleries Collection
 SPEYSIDE BLENDED MALT
 SCOTCH MALT SALES 40th ANNIVERSARY
 度数:48.5°
 樽種:SHERRY CASK

(状態) 開封後1年1ヶ月/残量:60%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
ラムレーズン、渋皮付きピーナッツのようなナッティ、オークの香りと香ばしさが入り混じる。程良い熟成香とオレンジビター。奥にスイートなニュアンスも見え隠れする。

味:
序盤からややドライなオーキー、オレンジの皮のようなビター感と酸味。渋みからはビターチョコのようなニュアンスも。後半からはシェリーカスクらしいドライフルーツ、タンニン、プディングのようなコクとスイート。全般的にドライめな印象が強く、フィニッシュはビターでややエグみを感じるウッディが残る。若干硝煙的な硫黄臭。口当たりは比較的穏やかで、ボディはそこそこ太い印象。

感想:
近年的なシーズニングシェリーの定型的な味わい。やや硫黄臭が鼻に付くが難。しかし基本的な味わいや口当たりは決して悪くなく、やや太目なボディや味わいにマッカランらしさを多分に感じられる。加水するとビターとスイートのバランスが良くなる印象。

評価: 3(可も不可もなし)~ 4(ゆっくり楽しめるレベル)

コスパ:値段相応

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スコッチモルト販売の40周年を記念してリリースされた一本。

ブレンデッドモルト(ティースプーンモルト)でメインのモルト原酒は蒸溜所非公開扱いですが、ラベルがモロにロールス・ロイスだったりして、隠す気ないじゃん!的なマッカラン。

2019~2020年現在に至るまで目立ってボトラーズリリースの多いマッカラン(殆ど蒸留所名非公開で発売されていますが…)。親会社であるエドリントングループの懐事情を思わず邪推してしまう今日この頃。一昨年中盤以降はグレンロセスやハイランドパーク等、所有する蒸溜所の原酒がボトラーズより数多くリリースされました。特に目立ったのがロセス。

「またロセスかよ!」との嘆きがようやく収まった昨今、今度は「またマッカランかよ!」の応酬。さらに隙間でハイパのリリースも地味に続く始末。

さらには、昨今リリースのマッカランの多くがバーボンカスク原酒であり、所謂一般的なマッカランに抱きがちなシェリーの味わいではないというのも、なんともな~という印象です。

さて本ボトルですが、そんなマイナスポイントを排したシェリーカスク表記。ブレンデッドモルトとはいえティースプーンモルトですから、ほぼほぼマッカランとみてOK。味わいも所謂シーズニングシェリーのマッカランであり、ちゃんと客のニーズに応えた仕様となっていました。価格的にも、当時既にボトラーズのスコッチウイスキー全般が高騰していた時期だったことを考慮してもギリギリ手を出せるライン。結果として優良なボトルだったかな~ぐらいの印象です。

開封当初はもっと全面的にオーキーで樽臭がキツく、ちょっと手を出し難い印象でしたが、1年経ってだいぶ落ち着いた様子。これから徐々に落ち着くのかな~とまだまだのんびり様子見できそうです。

〇 シトラスフルーツと程良いスパイス、少々刺激的な口当たり。今後の伸びしろに期待。
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☆GLENLOSSIE Vintage 1992  Aged: 24Years
 SIGNATORY VINTAGE 
 CASK HAND PICKED BY THE WHISKY EXCHANGE
 度数:56.3%
 樽種:ホグズヘッド


(状態) 開封直後/残量:90%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
オレンジオイルまたはオレンジビターズ、シトラス系のフルーツシロップ、切りたての洋梨、麦汁の甘くて香ばしい風味、ホワイトペッパーやクローブのスパイシー、全体的にライトでスイート。少しワクシーでパラフィンを思わせるニュアンスもある。

味:
最初はビターでスパイシー、クローブやペッパーを強く感じ、フレッシュな酸味も伴う。中盤から控えめながらシロップのようなスイート、ワクシー、オレンジ等の柑橘系のドライフルーツの印象が強い。終盤に向かってクリーム、ウッディ、少々刺激的な口当たりが押し寄せる。フィニッシュで刺激的な口当たりから穏やかに変化、オレンジピールなどのフレッシュフルーツ香を残しつつ、ドライに切れ上がる印象。刺激的である一方で、さらっとした口当たり。

感想:
香りではオレンジや洋梨を中心にフレッシュで甘いいんしょだが、味わいは比較的ドライでビター、かつスパイシー。アルコール刺激もそれなりに強く感じられる。中盤~後半に向かって甘さやフルーツが後追いしてくる印象。余韻でオレンジが残る。加水すると角が取れ、オレンジやピーチのようなフルーツ感と薬草的な青さが前面に現れる。瓶熟でどこまで伸びるのか期待。

評価: 3(可も不可もなし)~ 4(美味しく感じる)

コスパ:値段相応
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シグナトリーが英国のウイスキーバイヤー、ウイスキーエクスチェンジ向けに販売したボトルで、前回レビューしたシグナトリー×信濃屋ジョイントボトル第2弾、グレンロッシーのシスターカスクにあたるものです。
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使用されている樽は双方ともホグズヘッド。おそらくバーボン樽と考えて間違えないでしょう。ボトリングの時期も2ヶ月程度(信濃屋:3月、エクスチェンジ:5月)の差であり、度数もほぼ同程度。ただし、ボトリング数は70本程度の差が生じています。

味わいとしては信濃屋ロッシーと似た方向にありつつも、こちらの方がわずかにビター&スパイシーが先行するイメージ。余韻も結構ドライで甘さ控えめな印象でした。

個人的にはもっとスイートかつフルーティなものを期待していたのですが、現時点では期待していたほどのスペックではない模様…。信濃屋ロッシー同様に瓶熟にて今後様子見していく必要がありそうです。

余談ながら、1992ヴィンテージのグレンロッシーは2017年頃にシグナトリーより複数本がリリースされていたようで、これら2本の他にシグナトリービンテージのシリーズとして直接販売されたものが現在確認できます。機会があれば他のリリースも試してみたいですね。

今後の味わいの伸び方次第ではコスパ優良なボトルに変化する可能性もあり、半年~1年ぐらいかけてゆっくりと様子を伺っていきたいと思います。

〇 フレッシュなシトラス。ポテンシャルを感じさせるスペイサイドの佳酒。
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☆GLENLOSSIE Vintage 1992  Aged: 24Years
 SIGNATORY VINTAGE 
 EXCLUSIVELY CHOSEN BY SHINANOYA, TOKYO, JAPAN
 度数:57.4%
 樽種:ホグズヘッド


(状態)開封直後/残量:90%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
オレンジオイル、オレンジピール、ワクシーな印象、未熟なキウイ、シロップ薬、青レモンのピールのような若干の青さ、やや尖ったアルコール刺激。甘くオイリーな印象だが、次第にフレッシュフルーツの酸味も現れる。徐々に焼きたてパンのような香ばしさ、イースト的な酸味、キャラメルのようなニュアンスも出てくる。

味:
フルーツのシロップのような甘さ、フレッシュな酸味、オレンジソース、やや青っぽい印象。中盤あたりからはワクシーで刺激的、ビター、薬草っぽさも。さらに終盤からフィニッシュにかけてはスパイシーで、ペッパー、クローブを感じる。フィニッシュはやや長めで、ビターの中に青さとウッディさが混ざる。口当たりはさらっとしており、ややヒリつくが不快ではない。

感想:
開栓したてからそれなりに良い子なイメージ。ワクシーだが、ちゃんとオレンジや青レモンのフルーティさもしっかり感じられ、開栓直後ながらしっかり楽しめる印象。時間経過で酸味方面のニュアンスが引き立ってくる。加水するとワクシー&オイリーが抜け、よりフルーツのニュアンスを感じやすくなる。また原酒に由来すると思われるイースティなニュアンスも現れる。今後、瓶熟でこなれることが期待できそうな味わい。

評価: 4 (美味しく感じる/ゆっくり楽しめるレベル)

コスパ: 良い

~グレンロッシー蒸溜所~
現在ディアジオの傘下で、主にブレンド用に原酒を提供。オフィシャルのシングルモルトはリミテッドリリースを除けば「花と動物」の10年物のみ。ボトラーズでは近年も度々リリースされているので、個人的にはオフィシャルよりもボトラーズのほうが馴染みがあるイメージ。

ブレンド用原酒の提供先と著名なのはヘイグ(ディンプル)。姉妹蒸溜所としてマノックモアが併設されており、ディアジオ社の巨大集中熟成庫、およびドラフの処理施設(ダークグレイン工場)も完備されている等、大規模な複合施設を成している。

ポットスチルは現在6基。スピリットスチルには精留器が取り付けられている。
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数年前に発売され、ネットでは解禁されてから数十分で完売したといわれるボトル。故あって手元にあったものを開栓、テイスティングしました。

販売元は日本におけるウイスキー販売の雄、信濃屋。原酒の提供元はこちらも著名なスコットランドのボトラーズ、シグナトリーです。本ボトルは所謂シグナトリー×信濃屋ジョイントボトルと呼ばれるリリースの第2弾にあたるもので、第1弾のグレンタレット 1987年と同時発売でした。

この2本は販売開始前より評判上々で、ネットでは先述の通りほぼ即完売(タレットに至っては数分程度で完売)してしまったそうです。これ以降も同ジョイントボトルとしてブルックラディやバルメナック、グレンバーギーなどがリリースされ、その度に早々に完売してしまう、人気のシリーズとなっています。

また、同シリーズ各ボトルに対するネット上での評価を見ていると、概ね「開栓すぐでも美味しく飲める」「瓶熟でもっと伸びそうなスペック」等のレビューが散見され、どれも品質面では高評価な模様。樽をチョイスしたバイヤーさんの敏腕ぶりが窺えます。

本ボトルも例に漏れず開けたてで十分楽しめるレベルで、オレンジ系シトラスのフレッシュな甘さに若レモンや未熟キウイの酸味が合わさり、かなり自分好みな仕上がり。樽感含め主張の強いフレーバーもほぼ無く、いい意味でブレンド向け原酒を造っている蒸溜所らしい上品な味わいでした。

価格は1万数千円程度でコスパ面も非常に良く、現状の日本の市場を考慮すれば、即完売も充分頷けるクオリティです。

ワクシーさやツンツンした部分は、今後徐々にこなれて新たなフレーバーを生みそうな予感がしますし、現状で控えめなシトラス感やフレッシュな酸味はまだまだ伸びしろがありそう。しっかりと瓶熟させて楽しみたい反面、現状でもドンドンいけてしまう程に良い味わいであり、飲むか飲まざるかのジレンマの対象でもあります。とりあえずは飲みたい欲望をグッと我慢して、まずは半年を目安に経過観察ですかね。魔が差さないように注意注意と…。

〇 スイート&ココナッツ&トロピカル!なグレン〇ーレンジ
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☆Westport 1995 Aged 19 years Brihgt Snowflaks
 度数:52%
 樽種:ホグズヘッド

(状態)開封後約1年/残量:80%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
かなりスイートで、ココナッツミルク、クリームのキャンディ。続いてバナナ、マンゴー、黄桃の缶詰、わずかに柑橘のワタの部分の香りもする。モルトの香ばしさも控えめながら感じられる。

味:
はっきりと甘さを感じる。レモンクリームのケーキ、ココナッツチャンク(実の部分)、ハニーシロップ、ミルクチョコレート。途中から渋みやウッディなフレーバーが現れる。余韻は中程度でややドライ。心地よい暖かさを感じつつ、緩やかに消える。

感想:
ココナッツやトロピカルフルーツ、バニラといった、所謂バーボン樽の良いフレーバーがしっかりと、しかしバランスよく感じられるボトル。香り、味ともにスイートでフルーティ。加水するとウッディさが強調され、渋みが優位になって少々飲みにくくなる印象。それほど刺激的な口当たりではないので、ストレートでゆっくり味わうのが良いか。

評価: 4 (美味しく感じる/ゆっくり楽しめるレベル)

コスパ:良い
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ウィスク・イ―からリリースされているスノーフレークシリーズの1本。「ウエストポート」は所謂ティースプーンモルトの1種で、メイン原酒の蒸溜所について販売元コメントには「テインの町にある…」「5m以上の首の長いポットスチルの…」というヒント(というか殆ど答え)が載っています。

つまるところグレンモーレンジな訳なんですが、オフィシャルスタンダードのミドルグレードによく感じられるオレンジや柑橘の風味よりもココナッツやフルーツといったバーボンカスク由来のフレーバーが前面に出ている印象です。開封当初は香り、味ともにかなりドライな印象で、スイートやフルーティなフレーバーはあまり感じられませんでした。一方で柑橘系ピールの風味やオレンジオイルっぽい印象は開封直後のほうが顕著に感じられ、最初の印象は薄味でドライなグレンモーレンジという感じ。正直良い買い物ではなかったかもと落胆していましたが、半年経過ぐらいからココナッツとトロピカルが開き始め、今やすっかり美味く変化したわけです。侮れませんね。結果として値段に対してかなりお得感のあるボトルとなりました。



さて、「ティースプーンモルト」について簡単に説明しておきましょう。

ティースプーンモルトはある1カ所の蒸溜所のモルト原酒1樽分に、ティースプーン1杯ぐらいの僅かな量の別の蒸溜所のモルト原酒を加えてブレンドしたもので、規制上ブレンデッドモルトとなりますが中身はほぼシングルモルトの状態で販売されるものをいいます。

ティースプーンの銘柄で有名どころでは上記紹介済みの「ウエストポート:モーレンジ」のほか、「ウォードヘッド:グレンフィディック」や「バーンサイド:バルヴェニー」、「ダルリンプル:アイルサベイ」等が比較的リリースのあるところでしょう。加えられる原酒は概ね同系列や関係性のある蒸溜所の原酒が多いようです。

これらは全てボトラーズからのリリース。つまりはオフィシャルボトル以外からでのモルト原酒のリリースを大っぴらに行いたくない、または行えない事情がある蒸溜所がボトラーズリリースする際の措置と考えることができます(勿論、他に理由がある場合もあるかと思います)。

これと似た形式として「シークレット~」というリリースがあります。シークレットスペイサイドやシークレットアイラ、シークレットオークニーなどが有名で、最近特に目立ってリリースが多い印象です。

ぱっと見で正体がわからないために触れにくい印象がありますが、販売店や販売サイトにてヒントとなる要素、または正体そのものを紹介していることが殆どなので、情報をちゃんと確認すれば問題なく楽しめると思いますので、臆せず試してみましょう。

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