ウイスキー好きの"今夜も飲む!"

ウイスキーとその蒸溜所を愛し、年間10回以上蒸溜所を訪問。ウイスキーの良さと蒸溜所見学の楽しさを皆様に知っていただきたいと思います。2019年、ウイスキー文化研究所認定ウイスキープロフェッショナル取得。

タグ:ブレンデッド

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☆MARS WHISKY 浅葱斑
 Blended Japanese Whisky
 AGED 8 YEARS
 2020 Limited Release
 度数:48%
(状態) 開封後数日/蒸留所にて

(テイスティング)
香り:
オーク材のウッディ、熟成庫の樽香、ふんわりとしたバターケーキ、桃のジャム、プラム、グレーン由来のスイート、ゆで小豆、バニラ、仄かにシトラスのピール、漢方を思わせるボタニカルなニュアンス。

味:
軽快な口当たり。柑橘のピールを思わせるビター、乾いた針葉樹の木材、プラム、土蔵の中のような土っぽさ、バタークッキー、バニラフレーバー。終盤からグレーン原酒らしい穀物のスイート。フィニッシュにかけて乾いたウッディと穀物のスイート、クローブのようなオリエンタルスパイスが交じり合い、ゆっくりと消える。後味にはボタニカルなビターテイストが残る印象。

感想:
程よい熟成感とマルス信州のモルトらしさが現れ、予想以上に良く纏まっている。特に香りはウッディさとスイート、ふくよかさのバランスが良く、なかなかの出来。味わいもややライトで単調気味ながらバランスを崩さず、口当たり軽く飲みやすい。何よりグレーンが出過ぎず、モルトの下支えとしてしっかり機能しているのが良い。加水ではファッティさとビターなウッディが強調されるが、悪印象はない。

評価:3~4(日飲みできる~ゆっくり楽しめるレベル)

コスパ:良い~値段相応

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この度創業35周年を迎え、製造棟およびビジターセンターの全面リニューアルを果たしたマルス信州蒸溜所。

その記念として数量限定でリリースされたのが本ボトルです。

ラベルに描かれているのはボトル名称の由来でもある「浅葱斑(アサギマダラ)」。アジア圏の大陸および日本に分布し、長距離を飛行移動する蝶として有名です。

実はマルス信州蒸溜所のある上伊那郡宮田村にも浅葱斑は飛来し、観光の目玉ともなっています。

そんな地元に馴染みのある蝶をラベルとした本ボトルは、マルスでは数少ないオールジャパニーズを標榜したブレンデッドウイスキー。それも年数表記としては操業再開後の最長熟成年数に匹敵する8年表記となっています。

使用されているモルト原酒は逆算すれば判る通り、旧岩井式ポットスチルで蒸溜した2011~2012年頃のもの。当然、再開後に製造した原酒としては最長熟成のものです。グレーン原酒は当然他社のものではありますが、かつて、操業再開と前後して国内から買い付けたものを自社で8~9年貯蔵・熟成したものとされています。つまり、蒸溜所の再開から今日までの時間をまさに一緒に過ごしてきた原酒たちが使われている訳であって、そういった意味でもアニバーサリーにふさわしく、なかなか贅沢な逸品と言えます。

さらにモルト原酒も従来品に比べて多い割合で使用され、度数もやや高めに設定されています。アニバーサリーを祝したリリースとしては十分すぎるスペックかもしれません。しかもマルスのブレンデッド限定品として飛び過ぎない価格設定。結果、相対的にとはいえ、なかなか満足度・コスパ高めなボトルとなっています。


さて、実際に味わった感想ですが、香り・味ともにモルト原酒由来のニュアンスが主体な印象。グレーン原酒の要素は、その使用割合と熟成年数のおかげか下支えに徹しており、主張せずともしっかりと仕事をしているなぁという感じでした。

うん。良いねこれ。


8年熟成と、他と比べればまだまだ若い部類に入る原酒を使用していながら、若いネガティブな部分はおおよそ気にならず、しかししっかりとモルトが活きています。特にバターケーキやクッキーのような心地よい穀物感とファッティの合わせ技はかなり好印象。ピート感も上手くこなれ、土っぽさが良いスパイスとして効いています。

多少のビター感とやや主張のあるウッディが一瞬気になりましたが、グレーンの甘さと風味が上手くフォローしてくれているようで、嫌味に感じることはありませんでした。勿論、グレーンの甘さが際立つ感じでもなし。ホントいい具合です。

失礼を承知のうえで言うと、正直なところマルスのブレンデッドに対して一定以上の期待はこれまで抱いていませんでした。そして実際に飲んでみた感想としても一線を画すほどの出来を感じたことはなく、良くも悪くもない中頃の出来、といったイメージだったわけです。

今回もリリース情報からスペックは知っていたものの、まあ一回飲めればいいか程度に考えていた訳なのですが、いやはやびっくり。思いの外な良さに驚いた次第です。

無論、原酒の豊富な大手国内メーカーや歴史の長い海外ブランドに及ばない部分は当然ながらあるのですが、こういう出来の商品を出せるということは、今後のリリースに大いに期待が持てる訳で、いちファンとしては大変嬉しい1本でした。


尚、詳細なスペックや考察、マルスウイスキー史に関してはこちらの動画が詳しいので、興味のある方は一見の価値ありです。

Youtube:SILKHATチャンネル
MARS WHISKY 浅葱斑・テイスティング動画(前編)
MARS WHISKY 浅葱斑・テイスティング動画(後編)


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☆Old Parr Seasons Spring
 Limited Edition Scotch Whisky
 度数:43%
 樽種:ー
(状態) 開封後2年6ヶ月/残量:90%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
ウッディで滑らか、仄かにトロピカルフルーツのようなニュアンスも。僅かながらウッディな風味に紛れて青っぽい香りもする。また、非常に僅かにピーティなフレーバーも感じる。全体的にライトなイメージ。

味:
序盤は穀物的な甘さ、塩キャラメル、リンゴ、ウッディでタンニンっぽい酸味を伴う渋み、焦がしバターのようなニュアンスもあり。僅かにフローラル。ドライフルーツ様な香りも微かに感じるような気もする…。中盤以降はビター。漢方のような少々青っぽいニュアンス。フィニッシュはビターでややドライ。余韻で微かにピーティか。

感想:
ウッディでビターなニュアンスがメイン。口当たりはそこそこ良い。全体的にライトだが、スイート、フルーツ、ウッドと複層的なフレーバーがそれぞれ控えめながらしっかり備わっている印象。仄かなピーティとドライフルーツっぽいニュアンスがアクセントに効いている。

評価:3(日飲みできるレベル)~ 4(美味しく感じる)

コスパ:値段相応

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オールドパーから98年頃に発売されたと思われる限定リリース。500mlの特製ボトルで、自然の四季それぞれを4種のブレンド構成で表現した変わりダネです。

しかしながら、国内はおろか海外のサイトでも情報が殆ど載っておらず、僅かに掲載された情報も極めて断片的…。故に原酒の構成も不明。オールドパーなので、基本的にはクラガンモア、グレンダランを中心としたモルトにグレーンを加えたもの…という誰でも知っているようなレベルでしか語ることができません。

しかしながら、国内の中古市場に時折登場するところを見ると、免税店なり海外の土産物屋なり比較的大きなマーケットでリリースされた、と見るのが正しいかと思われます。情報求む。

さて、実際の味わいの方ですが、この「スプリング」はウッディがメインで、味わいとしては穀物的な甘さ、タンニン由来のビターさがバランスよく、僅かながらピーティな風味やドライフルーツ、少々の青っぽさがアクセントとして効いている印象です。

この元気な木々と青っぽいイメージが「春」ってことなんでしょうかね。日本人的には「春」イコール「桜」とか「イチゴ」、「甘酸っぱさ」みたいな感覚が先立ってしまうので、ちょっとイメージと齟齬が生じる感じです。

穀物由来の「甘さ」の部分ですが、これが所謂グレーン原酒由来の平板な甘さと少々違う印象で、どちらかと言えばモルト的なイメージを受けました。限定品という位置づけなので、モルトの比率を大幅に増した可能性もありありですが、個人的にはワンチャン、ブレンデッドモルトかも…とも思えるぐらいの感覚です。ん~…謎は深まる。

どちらにせよ、安定の味わいなオールドパーの限定品ランクということもあって無難に美味しく、なかなかに楽しめる味わいでした。残りの3季も後々レビューしたいと思います。

〇 変化球だが悪くない、サントリーブレンデッドの異端
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☆ THE ESSENCE of SUNTORY WHISKY BLENDED JAPANESE WHISKY CLEAN TYPE
 (Alc.48%、オフィシャル、ブレンデッドウイスキー)

(状態)
開封後数日/残量:90%程度/バー飲み

(テイスティング)
香り:
最初は驚くほどはっきりした杉材の香り。木材加工所、高級家具屋の香りを思わせる。その後徐々にピーチ、洋梨、梅酒、バニラキャラメル、トマトソース、スパイスが香る。時間経過とともに松ヤニ、ミルククリーム。僅かにピートも感じる。かなり個性的な印象。

味:
ピーチネクターやマスカットのガム、リンゴ、あっさりした甘さとウッディなニュアンス、しっかりとビター。杉の香りは程良く感じる程度。ややスパイシーで、トマト風味、サルサソースのような独特の旨味、ジンジャーも感じる。少々青っぽくて金属的な風味も感じる。余韻はドライ寄りで短め。飲み進めるとトマトや青さが目立つようになる。少々オイリー、ミルキー、若い印象。

感想:
とても個性的!だが不味かったり飲めないという訳ではない。杉の風味は思ったほど強くない。杉の香りとの相互作用なのか、トマトまたは金属的なフレーバーが目立つ。また杉樽香がこなれてくると少しファッティな印象に変わってくる。加水は数滴なら伸びる印象だが、ウッド感が強くなってくる。多く加水するとボディが崩れる印象。

評価: 3 (可も不可もなし/日飲みできるレベル)

コスパ:値段相応~やや高い


先日発売開始となったサントリーの料飲店限定シリーズ、THE ESSENCE of SUNTORY WHISKYの第3弾

今回のエッセンスオブサントリーは「杉樽」がテーマ。片や白州蒸溜所の若いモルト、もう一方は山崎蒸溜所の長熟モルトを軸に、知多のグレーンを加え杉樽をアクセントとして使用した独特のブレンデッドウイスキーです。

正直「杉樽」と聞いてかなり構えていたのですが、いざテイスティングしてみると意外と楽しめる香り&味わいに驚かされました。ただ、ブレンデッドとはいえピーキーなリリースであるエッセンスオブシリーズなだけあってか決して万人受けする雰囲気ではない、一癖二癖ある印象。

杉樽由来と思わしき独特なファッティなコクや木材感、そこはかとなく香る青さやトマト、金属臭などかなり個性的なフレーバーを含んでおり、ブラインドならばまずサントリーのブレンデッドとは答えないような、かなり異端を感じさせるキャラクターでした。

杉樽といえば過去にサントリーからリリースされていた「膳」や「座」、「響12年」等の原酒に杉樽が使用されていたことで知られています。また、非常に個性が強く、短期間の熟成でもかなり香りが出たとか出ないとか…。まあだからこそ樽全体に使用せず鏡板のみの使用に留まったということなんでしょう。

杉樽といえば、先頃「神息(かみき)ウイスキー」という日本”っぽい”謎のブランドが海外で発売され、「マリッジに奈良県の吉野杉を使った」とアピールしていましたね…。ブランドページには「杉樽」と明記されておらず、一体どのような形で使用したのか謎ではありますが、もし全面杉製の樽を使っていたとするのならば、どのような味がするのか興味をそそられるところでもあります。まあテイスティングの機会、無いと思われますが…

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