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☆MARS MALT Le Papillon
 クモマツマキチョウ
 Singlu Cask Single Malt
 Distilled:Nov.2015
 Botteled:Jun.2020
 ボトリング本数 643

 度数:58%
 樽種:Sherry Butt
(状態) 開封時期不明/蒸溜所にて

(テイスティング)
香り:
過熟のブドウ、スイートなデザートワイン、濃厚なドライフルーツ、フルーツソース、やや刺激的なウッディとアルコール感、洋梨のフレーバー、ピーチやプラムのニュアンス、全体的にクリアなスイート感。

味:
口に含んだ瞬間に強めな刺激。真新しい木材のウッディ、ビターを伴うタンニン、焙煎したモルト、挽きたてのコーヒー。中盤以降はスイートなレーズン、バタークリーム、マロングラッセ、ラズベリー、洋梨のジャム。フィニッシュは短く、淡泊な印象。ドライに切れ上がりながら、ドライフルーツと黒蜜のスイートが残る。

感想:
香り・口当たりともに若い原酒故の刺激と、樽由来のウッディがかなり強い。しかしながら全体的にスイートで癖が少なく、時間を掛ければ案外楽しめる印象でもある。特にドライフルーツの風味はかなり濃厚でスイート。また、それ以外にも洋梨を思わせるエステリーや、乳製品のようなファッティさも感じられ、決して単調なシェリーカスク味にはなっていない。加水すると刺激は多少緩和されるが、一方でタンニンやビターが強調され、隠れていた硫黄の香りが現れてしまう。ストレートで時間を掛けて楽しむのが無難。

評価:3(可も不可もなし)

コスパ:値段相応~やや悪い

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マルスウイスキーが不定期にリリースしているル・パピヨンシリーズ。

ル・パピヨンはマルス信州蒸溜所で蒸溜されたウイスキーをシングルカスクでリリースしている一連のシリーズ。2016年から始まったこのシリーズも本ボトルで9本目。遂に大台が見えてきました。

そんなル・パピヨン第9弾はシェリーバットを信州で熟成した5年物。信州熟成のシェリーカスクというスペックは、本シリーズ初登場だったりします。ついでに、復活後の原酒を使ったリリースとしても、シェリーカスク単体でのリリースは結構レアケース。

尚、原酒のタイプは2014年から仕込みを開始したノンピートタイプとなっています。

個人的意見として、マルス信州の原酒は概ね6~7年物ぐらいからポテンシャルを発揮してくる印象。それ未満のものでは若さが先立ち過ぎてしまい、または樽感が目立ってしまうような気がします。そして本ボトルはその6~7年を下回るもの。

試飲前は少々の心配がありましたが、実際飲んでみるとこれが案外GOOD。

香りも味もそれほど嫌味が無く、たしかに原酒の若い感じと樽感の強さは伴うものの全体的にスイートでフルーティ。しかもシェリー樽に特徴的なニュアンス以外にも、マルス信州らしい木の実系エステリーとファッティが活きている印象で、悪くありません。

ただ、やはりというか当然というか、味わい全体は濃いめで強めなので、ずっと飲んでいられる程やさしくなく、また加水で少々ネガティブなニュアンスが浮き出てしまうため、厳しめですが評価「3」と表記しました。

しかしながら、なかなかリリースの機会の無かった信州のシェリーカスクであることに加え、これまた近年から仕込み始めたため出番の少なかったノンピート原酒、そして現行(復活後)のマルス信州では比較的長い酒齢となる5年熟成ということで、試す価値は大いにあるボトルかと思います。