ウイスキー好きの"今夜も飲む!"

ウイスキーとその蒸溜所を愛し、年間10回以上蒸溜所を訪問。ウイスキーの良さと蒸溜所見学の楽しさを皆様に知っていただきたいと思います。2019年、ウイスキー文化研究所認定ウイスキープロフェッショナル取得。

2020年06月

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☆MARS MALTAGE “COSMO” 越百
 WINE CASK FINISH BOTTLED IN 2020
 度数:43%

(状態) 開封直後/残量:90%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
イチゴジャム、ラズベリーのフレーバー、煮詰めた赤ワイン、僅かにピーティ、全体的にスイートでスムースな印象。使い込んだ皮製品のような風味もある。

味:
酸味を伴うタンニン、ベリージャムの甘さ、終盤にかけてゆで小豆ような風味も。若干の硫黄っぽさ。仄かにピーティ。口当たりは比較的スムースで、全体的にライトな印象。フィニッシュはタンニンとベリーの風味で、ドライ気味。

感想:
全体的にワインカスクのフレーバーがカバーしており、元の越百らしい部分(特に酸味のある穀物感)は隠れてしまっている印象。良くも悪くもマルスのワインカスク味。加水することでモルティと柔らかいピーティが顔を出す。中庸なイメージだが、ベリーとピーティのバランスの良さが好印象。ハイボールではベリーが失われ、硫黄とエグみが強く出てしまう。もう一声安ければ…。

評価:3~
4 (可も不可もなし/美味しく感じる)

コスパ:やや悪い

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つい先日リリースされたマルスのブレンデッドモルト、越百のカスクフィニッシュシリーズの1本。昨年のマンサニージャカスクに続き、今年は自社のワインカスクがフィニッシュに使用されています。

マルスウイスキー(本坊酒造)といえば、駒ヶ岳や岩井トラディションなどのバリエーションとして、ワインカスクフィニッシュの製品を数多くリリースしていることで有名。

使用されているワインカスクは、本坊酒造が山梨に持つワイナリーから取り寄せたもの。ワイナリーから蒸溜所のある南信州までは車でおよそ2時間程度と近く、ワインの樽出しからウイスキーのフィリングまでに余計な時間が掛かりません。つまりワイン樽の劣化を最小限に抑え、比較的フレッシュな状態で使用できるわけです。

この比較的フレッシュなワインカスクを使用しているためかどうか定かではありませんが、マルス信州のリリースする各ワインカスクフィニッシュ品はフレッシュでスイートなベリーの香味がより強く、味わいもラズベリージャムのような甘酸っぱい印象にマスクされていることが個人的に多い印象です。

本ボトルも漏れなくそっち系の香りがしっかりと上乗せされたイメージの出来。加えて越百が本来持ち合わせているソフトなピート香がスパイス的に効いて、意外と悪くないバランスでした。

ただし、多めの加水でエグみや硫黄臭といったネガティブな要素が表出してしまい、残念ながらハイボールではその良さを発揮しきれない印象。ストレートか、いっそカクテルベースにするのが良さそうです。

昨年のマンサニージャがハイボールと好相性だったが故に、ちょっと残念な結果でした。が、ストレートや少量の加水ならば十分に楽しめる出来かと思います。ただし、お値段と入手のハードルはちょっと高め。

尚、この越百のカスクフィニッシュシリーズは現在のところ、年替わりで1種類ずつリリースされる予定とのこと。ロット数の問題なのか、それとも試験的なリリースという位置づけなのか、そのポジションは判然としないものの、意外と粒ぞろいなボトルが続いている本シリーズ。さて次回はどんなボトルが登場するのでしょうか、楽しみではあります。

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☆GLENALLACHIE SINGLE CASK 2006
 CHICHIBU WHISK(E)Y MATSURI
 AGE 12 YEARS
 度数:59.4%
 樽種:BOURBON BARREL #111859
(状態) 開封直後/残量:80%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
酸味の効いたリンゴジャム、乾いたオークの木材、アプリコット、ホワイトペッパー、クローブ。ハーブティーやジンジャー、バタークッキーのようなスイートもある。

味:
しっかりとフルーティな酸味や甘み。中盤からハーブ様の青っぽさを伴ってウッディ、しっかりと太いモルティ。終盤にかけてバターのようなファッティやビターなタンニン。フィニッシュにかけて強めの刺激とビター、青っぽさが残る。後味はドライ。

感想:
比較的わかりやすいバーボンカスク味と、酒質の強さ由来の線の太いモルト感がメイン。刺激は度数なりに強いが、飲みごたえと味わいの強さが感じられ好印象。やや値ごろ感には欠けるが、12年熟成としては優秀か。加水にも十分耐える。

評価: 4(美味しく感じる/ゆっくり楽しめるレベル)


コスパ:値段相応~やや悪い

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今年の秩父ウイスキー祭2020で限定販売されたグレンアラヒーのシングルカスクです。

個人的には購入時点であまり期待しておらず、別のボトルと抱き合わせで注文した程度の心づもりでした。加えて他の商品が軒並み応募多数の抽選販売になる中で通常販売される始末。個人的前評判はよくありませんでした。

そんな評価が覆ったのがつい先日。こんなご時世故外飲みできず、ひたすら家飲みを堪能している中で不意に思い出し開栓したのがきっかけでした。

一口飲んでびっくり。これはなかなかの代物だな、と。とんでもなく突き抜けた味わい、とまでは言いませんが、12年のカスク物としては十分な味わいでした。

味わいとしては、特に最近のバーボンカスク系によく感じられる香り(個人的にハーブやスパイス、フルーツの酸味と思っています)と線の太いモルティが全面に現れており、なかなかの好印象。

加水にも耐えうるボディを持っており、今後の瓶熟の具合によってはさらに開く可能性も感じられ、今後の期待値も十分。

いや、やはりボトルの評価はちゃんと飲んでからにすべきだな…と反省した次第です。


【グレンアラヒー蒸溜所】
1967年にマッキンレー・マクファーソンによって創業された蒸溜所で、スペイサイドでは比較的新しい蒸溜所。1985年にインヴァーゴードン、1989年にはペルノリカールと親会社を変えつつ、ブレンデッド用原酒供給源として操業を続けた。

その後、かのビリー・ウォーカーによって酒質の良さを見出され、買収。現在は独立系のメーカー(グレンアラヒー・コンソーシアム)の蒸溜所として稼働している。

ペルノリカール以前は、シングルモルトとして殆どリリースされていなかったが、現体制に移行してからは数多くのシングルモルトをボトリング、リリースしている。
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