日本一小さな蒸溜所である長濱蒸溜所。ここではそのサイズ感ならではとも言えるイベントを開催している。それが「長濱蒸溜所 蒸溜体験ツアー」である。
これは所謂ウイスキーファン向けのウイスキー製造体験会であり、1泊2日の日程でウイスキーの製造プロセスを実地体験できるプログラムとなっている。
ここまで聞くと、ニッカが余市・宮城峡各蒸溜所で開催している「マイウイスキーづくり」と差して変わらないように思えるが、実際は、こちらの「蒸溜体験ツアー」のほうがディープでマニアックだ。
どの辺がディープかというと、具体的には本当に製造作業を自分の手で行うというところだ。
「え、ニッカも実際の作業を体験できるじゃん!」という意見が飛んできそうなところである。確かにニッカの開催するマイウイスキーづくりも製造作業の体験はある。しかしそれはあくまで製造工程の一部を切り取って、イベント用に行う「体験」であって、実際の業務と細部が異なっている。
一方、長濱の蒸溜体験は本当にウイスキー製造を体験できる。マッシュタンからドラフを掻き出して袋に詰め、スチル・冷却器を掃除してモロミを張り…と、もう殆ど労働と同じ状況だ。
2日にわたって汗をかきつつ、筋肉痛になりつつ作業を体験する。人によってはバイト代を請求したいと思うかもしれない。
しかし、本当に製造現場の空気を知るためにはこれ以上の体験プログラムは無いだろう。なにせモルトの粉砕、ウォッシュバックへの酵母の投入、スチルへの火入れ、ローワインのアルコール度数測定、ニューポットのバレルエントリーに至るまで、本当に殆ど全ての工程を体験できるのだから。
これは流石にニッカでも真似できない。この日本一小さな規模だからこそ、できることなのだ。
惜しむらくは、実際のウェアハウスを見ることができないという所だろうか。しかし、それすら霞むぐらいに、この蒸溜体験は楽しい。
参加人数も最大6人に抑えられているため、暇を持て余すこともほぼない。また、質問も聞き放題だ。
また、ここはレストラン併設であるため、1日目の昼・夜、2日目の昼と、食事が提供される。特に1日目の夕食は懇親会を兼ねた宴会となっており、参加者同士またはスタッフの方々とビールやウイスキーを片手に談笑しながら豪華なメニューを楽しめる。
スタッフの方々からは、ちょっとした裏話や立ち上げ当初の苦労話、こぼれ話も聞けたり…。
他にもお楽しみポイントはいっぱいあるのだが…、この先は実際に参加し、ご自身で体験していただきたいと思う。
応募は公式サイト「https://www.romanbeer.com/nagahama-distillery/tour/」より可能。参加費は宿泊費および2食+宴会、ニューポット(ハンドフィル!)やグラス等のプレゼントを含めて44000円(税込)となっている。
値段としては決してリーズナブルではないが、得られるものは相当に大きい。そして楽しい。
ウイスキーファンを自称するならば、是非1度はご参加いただきたいと思う。