ウイスキーが製造されている蒸溜所。ウイスキーファンにとっては聖地ともいえる場所である。国内において稼働中または稼働開始を控えているウイスキー蒸溜所は現在20カ所以上。日本の各地に点在し、その約半数以上の蒸溜所で一般向けの見学ツアー(一部蒸溜所は自由見学)が行われている。
昨今は世のウイスキーブームに触発され国内外問わず多くの観光客で賑わっているウイスキー蒸溜所だが、自称ウイスキー好きの中にもまだ訪問できていない、行こうか迷っているという方も少なくないのではなかろうか?
実際、自分の周りをみても興味はあるが実際に行くのを躊躇している人間は多い。行けない理由は人により様々であると思うが、しかし、できるならば1度は足を運んでいただきたい。
この記事では蒸溜所見学の魅力や楽しみ方、注目して欲しいポイントなどをお伝えしていこうと思う。そして、蒸溜所へ行く動機の一助となれば幸いである。
では蒸溜所見学の魅力はどこにあるのか。
これは人それぞれかもしれないが、私の独断と偏見でいくつかピックアップしてみたいと思う。
① ウイスキー造りを間近に見られる
おそらく蒸溜所見学に関して唯一にして最大の魅力ではないだろうか。ウイスキーの誕生を間近に見ることができる場所は他には無い。しかも多くの蒸溜所では見学ツアーを実施しており、それぞれの製造プロセスにおいて作業に関すること、ウイスキー造りのポリシー等をわかりやすく説明してもらえる。
説明内容に関しては初心者でも理解しやすいよう配慮されいることが多いので、普段ウイスキーを飲まない人でも退屈することはない。また、既にある程度ウイスキー造りを知っている人はガイド、またはスタッフに別途質問してみても面白いだろう。余程口外できないことでない限り、丁寧に教えて貰えるはずだ。
製造工程を間近に見ることによって温度や香りなどの現場の空気を体感できることも重要だ。マッシングされた麦芽や流れ出るニューポットの香り、ポットスチルから伝わる熱気、熟成庫の湿気と芳香、これらを感じることで製造のライブ感をより堪能することができ、理解も深まるはずだ。
② ウイスキーの試飲ができる
蒸溜所には多くの場合、試飲スペースが設けられている。また、見学ツアーを開催している場所では試飲が最初から組み込まれていることがある。試飲スペースでは通常販売の製品を基本としながら、時に数量限定品製品や蒸溜所でしか飲むことのできないボトルが置かれていることもあり、概ね一般市場価格より安く試飲できる。
代表的な例がサントリーが運営する山崎、白州の2大蒸溜所で、ここではまずツアーの最後に製品1種とその主な構成原酒、合わせて3~4種類の試飲ができる。しかもそれぞれハーフショットで用意され、さらに製品はハイボールにするためにショットでもう1杯用意される。これが参加費1000~2000円で楽しめるのだから申し分無いところだろう。
他の蒸溜所においても有料のツアーでは殆どの場合において試飲がセットになっている。場所によって内容の格差は多少あれど、十分お得感を感じられる内容だ。
また、試飲スペースでは有料で製品の試飲ができる。一般に手に入りやすい商品から限定商品などのレアなもの、蒸溜所によっては樽詰め前のニューポットや製品化される前の原酒といった非売品を味わうことも可能だ。現在、市場価格の高騰によって若干の値上がり感は否めないものの、それでも市販品や料飲店よりもリーズナブルに楽しめるのは魅力である。
提供される量は概ね10~15ml(ハーフショット)程度。少ない量でいろいろ試すことができるので、レアなボトルをお手頃に沢山楽しみたい玄人にも、自分に合うボトルを探したいビギナーにもオススメだ。
ただ、運転者には(当然だが)ウイスキーは提供して貰うことができない。お得な試飲を楽しむためにも、必ず公共交通機関を利用していただきたい。
~その2~に続く。