ウイスキー好きの"今夜も飲む!"

ウイスキーとその蒸溜所を愛し、年間10回以上蒸溜所を訪問。ウイスキーの良さと蒸溜所見学の楽しさを皆様に知っていただきたいと思います。2019年、ウイスキー文化研究所認定ウイスキープロフェッショナル取得。

〇 (タイトル)
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☆Old Parr Seasons Spring
 Limited Edition Scotch Whisky
 度数:43%
 樽種:ー
(状態) 開封後2年6ヶ月/残量:90%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
ウッディで滑らか、仄かにトロピカルフルーツのようなニュアンスも。僅かながらウッディな風味に紛れて青っぽい香りもする。また、非常に僅かにピーティなフレーバーも感じる。全体的にライトなイメージ。

味:
序盤は穀物的な甘さ、塩キャラメル、リンゴ、ウッディでタンニンっぽい酸味を伴う渋み、焦がしバターのようなニュアンスもあり。僅かにフローラル。ドライフルーツ様な香りも微かに感じるような気もする…。中盤以降はビター。漢方のような少々青っぽいニュアンス。フィニッシュはビターでややドライ。余韻で微かにピーティか。

感想:
ウッディでビターなニュアンスがメイン。口当たりはそこそこ良い。全体的にライトだが、スイート、フルーツ、ウッドと複層的なフレーバーがそれぞれ控えめながらしっかり備わっている印象。仄かなピーティとドライフルーツっぽいニュアンスがアクセントに効いている。

評価:3(日飲みできるレベル)~ 4(美味しく感じる)

コスパ:値段相応

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オールドパーから98年頃に発売されたと思われる限定リリース。500mlの特製ボトルで、自然の四季それぞれを4種のブレンド構成で表現した変わりダネです。

しかしながら、国内はおろか海外のサイトでも情報が殆ど載っておらず、僅かに掲載された情報も極めて断片的…。故に原酒の構成も不明。オールドパーなので、基本的にはクラガンモア、グレンダランを中心としたモルトにグレーンを加えたもの…という誰でも知っているようなレベルでしか語ることができません。

しかしながら、国内の中古市場に時折登場するところを見ると、免税店なり海外の土産物屋なり比較的大きなマーケットでリリースされた、と見るのが正しいかと思われます。情報求む。

さて、実際の味わいの方ですが、この「スプリング」はウッディがメインで、味わいとしては穀物的な甘さ、タンニン由来のビターさがバランスよく、僅かながらピーティな風味やドライフルーツ、少々の青っぽさがアクセントとして効いている印象です。

この元気な木々と青っぽいイメージが「春」ってことなんでしょうかね。日本人的には「春」イコール「桜」とか「イチゴ」、「甘酸っぱさ」みたいな感覚が先立ってしまうので、ちょっとイメージと齟齬が生じる感じです。

穀物由来の「甘さ」の部分ですが、これが所謂グレーン原酒由来の平板な甘さと少々違う印象で、どちらかと言えばモルト的なイメージを受けました。限定品という位置づけなので、モルトの比率を大幅に増した可能性もありありですが、個人的にはワンチャン、ブレンデッドモルトかも…とも思えるぐらいの感覚です。ん~…謎は深まる。

どちらにせよ、安定の味わいなオールドパーの限定品ランクということもあって無難に美味しく、なかなかに楽しめる味わいでした。残りの3季も後々レビューしたいと思います。

〇 少々オーキーで、ビター感の強いマッ〇ラン
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☆The Finest Speyside AGED 29 YEARS
 Distilled in 1988
 Distilleries Collection
 SPEYSIDE BLENDED MALT
 SCOTCH MALT SALES 40th ANNIVERSARY
 度数:48.5°
 樽種:SHERRY CASK

(状態) 開封後1年1ヶ月/残量:60%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
ラムレーズン、渋皮付きピーナッツのようなナッティ、オークの香りと香ばしさが入り混じる。程良い熟成香とオレンジビター。奥にスイートなニュアンスも見え隠れする。

味:
序盤からややドライなオーキー、オレンジの皮のようなビター感と酸味。渋みからはビターチョコのようなニュアンスも。後半からはシェリーカスクらしいドライフルーツ、タンニン、プディングのようなコクとスイート。全般的にドライめな印象が強く、フィニッシュはビターでややエグみを感じるウッディが残る。若干硝煙的な硫黄臭。口当たりは比較的穏やかで、ボディはそこそこ太い印象。

感想:
近年的なシーズニングシェリーの定型的な味わい。やや硫黄臭が鼻に付くが難。しかし基本的な味わいや口当たりは決して悪くなく、やや太目なボディや味わいにマッカランらしさを多分に感じられる。加水するとビターとスイートのバランスが良くなる印象。

評価: 3(可も不可もなし)~ 4(ゆっくり楽しめるレベル)

コスパ:値段相応

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スコッチモルト販売の40周年を記念してリリースされた一本。

ブレンデッドモルト(ティースプーンモルト)でメインのモルト原酒は蒸溜所非公開扱いですが、ラベルがモロにロールス・ロイスだったりして、隠す気ないじゃん!的なマッカラン。

2019~2020年現在に至るまで目立ってボトラーズリリースの多いマッカラン(殆ど蒸留所名非公開で発売されていますが…)。親会社であるエドリントングループの懐事情を思わず邪推してしまう今日この頃。一昨年中盤以降はグレンロセスやハイランドパーク等、所有する蒸溜所の原酒がボトラーズより数多くリリースされました。特に目立ったのがロセス。

「またロセスかよ!」との嘆きがようやく収まった昨今、今度は「またマッカランかよ!」の応酬。さらに隙間でハイパのリリースも地味に続く始末。

さらには、昨今リリースのマッカランの多くがバーボンカスク原酒であり、所謂一般的なマッカランに抱きがちなシェリーの味わいではないというのも、なんともな~という印象です。

さて本ボトルですが、そんなマイナスポイントを排したシェリーカスク表記。ブレンデッドモルトとはいえティースプーンモルトですから、ほぼほぼマッカランとみてOK。味わいも所謂シーズニングシェリーのマッカランであり、ちゃんと客のニーズに応えた仕様となっていました。価格的にも、当時既にボトラーズのスコッチウイスキー全般が高騰していた時期だったことを考慮してもギリギリ手を出せるライン。結果として優良なボトルだったかな~ぐらいの印象です。

開封当初はもっと全面的にオーキーで樽臭がキツく、ちょっと手を出し難い印象でしたが、1年経ってだいぶ落ち着いた様子。これから徐々に落ち着くのかな~とまだまだのんびり様子見できそうです。

〇 ライトで飲みやすい味わいの駒ヶ岳。
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☆駒ヶ岳 KOMAGATAKE Limited Edition 2019
 Single Malt Japanese Whisky
 Non-Cill Filtered
 度数:48%

(状態) 開封直後/残量:90%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
ピノー・デ・シャラントのような濃密な甘い香り、アンズ、リンゴ、新品のレザー生地、紅葉の森林を感じさせる湿ったウッディ、薄っすらとシナモンやナツメグも香る。奥行きはそこまで無いが、スイートでやさしく好印象。スワリングするとミントのような青い香りが立つ。乳酸っぽい酸味もある。

味:
やや強めな渋み、ほんのりと甘く、やや単調な雰囲気。序盤~中盤では焼き菓子、リンゴの皮、レザーの香り。最後に少々モルトの香ばしさを感じる。
フィニッシュは中程度であっさり軽め。余韻ではリンゴや和梨の後味を思わせる風味。加水でビター、モルティ、酸味が現れるがボディは折れてしまう。加水には耐えられない様子。

感想:
ライトかつシンプル。香りでは特にトップノートで甘く濃密な印象。次第にシナモンやナツメグといったスパイス、晩秋の森の香りといった要素も現れ、なかなか良い印象。
一方で味わいの方は、やや単調。甘さやコクといった要素は非常にライトで控えめ。ウッディな渋みが目立つ印象。香りの期待からは少々ハズれる印象だった。ただ、特にネガティブな要素は感じられず、日常で飲む分には差し支えないかと思う。また、ややハイプルーフな設定であるものの、加水ではあまり伸びず。ロックやハイボールよりもストレートが推奨される印象。もう少しリーズナブルならば…。

評価: 3 (可も不可もなし/日飲みできるレベル)

コスパ:やや悪い

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マルスウイスキー(本坊酒造)より年に1回リリースされるシングルモルト駒ヶ岳のイヤーリミテッドエディション。その2019年版のボトルです。

裏ラベルおよび既出の情報によると、信州蒸留所のバーボンカスク原酒を中心にバッティングしたものだそう。

香りではバーボンカスク由来らしい、スイートなフルーツ&オリエンタルスパイスが存在。かなり濃密な甘いニュアンスを感じたものの、味わいではもう一つ。加水にも弱く、ハイボールだとちょっと物足りない感じ。一方で棘の少なくスイート方面な味わいはビギナー含め万人に向く、無難な味わいといった印象です。

使用されている原酒は勿論、マルス信州蒸溜所のもの。マルス信州蒸溜所の原酒はバーボンバレル熟成主体で、実際の酒質もバーボンバレルとの相性が最も良いとのこと。今回のリミテッドエディション2019は若々しいながらも、信州原酒の“良さ”をそれなりに体現できているような気がします。ただ、如何せん熟成年数が足りないようで、味わいの厚みには欠けている様子。今後のリリースで味わいが如何に深化するか、注目していきたいと思います。

2018年より続くこのリミテッドエディションは今後の定番リリースの布石の一つ。原酒の供給・品質が安定すれば、待望の定番品「シングルモルト駒ヶ岳」がリリースされることでしょう。

それまでは首をながーくして待つしかないですね。

〇 フルーティで華やか。安定感のあるシェリー樽アラン。
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☆The Arran Malt LIMITED EDITION 20Years Old
 DISTILLATON DATE:02/09/1996
 BOTTLED DATE:08/08/2017
 度数:52.0%
 樽種:SHERRY HOGSHEAD #1220

(状態) 開封後1年6ヶ月/残量:60%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
黄桃の缶詰、ベリージャム、ホイップクリーム、洋梨、パンケーキまたは焼き菓子のような香ばしさ。スイートで厚めな印象。スワリングするとウッディさを伴うワインビネガー。

味:
柔らかい酸とフルーティで伸びやかなスイート。中盤からはプディング、バターソテー、カラメルソース。終盤にはドライフルーツとタンニンのしっかりとした渋み、スパイシーさ。フィニッシュではウッディ、ビター感が穏やかに広がる。薄っすらとインク的な香りも感じられた。
加水でよりウッディとビターが前面に。

感想:
トップノートでベリー系、黄桃、洋梨といったスイートなフルーツ香が漂い、香り的には非常にグッド。味わいもスイートで厚めのボディ、穏やかで上品なフィニッシュと、概ね裏切らない方向性で満足度高め。樽感も強烈ではなく、程良い現行シェリーカスク味。値段もそれなりにお手頃で悪くない。

評価:4(美味しく感じる/ゆっくり楽しめるレベル)

コスパ:良い

~アイル・オブ・アラン(現ロックランザ)蒸溜所~

キャンベルタウンのあるキンタイア半島の東側に位置するアラン島。そのロックランザ村に存在する蒸溜所で、創業は1995年。

アラン蒸溜所が創業するまでは約160年もの間、アラン島でウイスキーは造られていなかった(最後にウイスキーが造られたのは1836年とのこと)。

企業傘下ではない独立資本の蒸溜所であり、「The Arran Malt」名義のシングルモルトおよび自社のブレンデッドウイスキーに原酒供給している模様。生産規模は年間120万リットル(2019年現在)とかなりコンパクト。

島内に自社第2蒸溜所となる「ラッグ」の創業計画が進行中で、それに伴い名称を「ロックランザ」に変更した。

尚、日本国内の正規輸入代理店はウィスク・イーが務めている。
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比較的評判が良いリミテッドリリースのアラン。本ボトルも例に漏れず、なかなか悪くない味わいでした。

リリース初期のボトルには、味わいのバランスやオフフレーバー等、ネガティブなイメージのあるものも少なくなかったようですが、近年のものは定番・限定版ともに比較的良くなってきているようです。

特にリミテッドエディションで発売される20年前後の物に関しては、この頃合いがアランの熟成のピークの一つと言われるほど、しっかりとした出来のものが多い模様。残念ながら管理人自身が他のボトルを試す機会に恵まれていないため、今後要検証です。

ただ一点、インクのような香りが気になるところ。特段悪い印象は受けませんでしたが、時にオフフレーバーの一種として云われることもある香りであり、酒質の不安定さが出ているのではと勘ぐってしまいました。

そこに目をつむれば、普通に楽しめる良いボトルでした。

〇 成長を見せた信州の原酒。ウッディな味わいが好印象な1本。
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☆MARSMALT Le Papillon ギフチョウ
 Single Cask Single Malt Japanese Whisky
 Distilled and Matured at Mars Shinshu Distillery
 Distilled:Jan.2013  Botteled:Apr.2019
 度数:58%、
 樽種:アメリカンホワイトオーク(新樽)


(状態) 開封直後/残量:90%程度/自宅保管

(テイスティング)
香り:
プラム、カカオやエスプレッソに近いほろ苦さ、湿り気のある木材のウッディネス、木酢や柿渋、過熟のリンゴ、クローブ、鰹出汁を思わせるニュアンスも。まだ若々しいニューポット感も残っている。

味:
オーク材のウッディで芳醇な香り、控えめで上品な甘さ、樽熟の梅酒または完熟のプラム、ハイカカオのビターチョコレート、クローブやオールスパイスのような甘くウッディなスパイス香、終盤で少々アルコール刺激があるが、度数ほどではない印象。もみ殻のような香ばしさ、梅の種の部分のような青っぽさも感じられる。フィニッシュはやや短めで穏やか。ミドルボディ程度ながら、熟成感も感じられる。

感想:
香りではやはりニューポット感が否めないものの、全体的にウッディで上品な印象。カカオのような香ばしさとともに、クローブを思わせるスイートなスパイスが心地よく、しつこい甘さや強すぎるビターも無く、予想以上に楽しめる味わい。加水でややボディ感が崩れる印象だが、ウッディな香りがよく広がる。6年熟成ながら、決して悪くはない完成度。

評価:4(美味しく感じる/ゆっくり楽しめるレベル)

コスパ:やや悪い

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マルスウイスキーのシングルカスク限定ブランドであるル・パピヨン。

ラベルに信州の野山に生息する蝶を描き、2016年よりリリース開始。第1弾はオオルリシジミ(アメリカンホワイトオーク新樽、4年熟成)、今作のギフチョウは第7弾にあたります。

原酒はライトリーピーテッドタイプで、樽はアメリカンホワイトオーク新樽。熟成期間は6年となっています。


本シリーズでリリースされる原酒は、現在のところ基本的に2011年の再稼働後の原酒に限られており、どれも若々しいニューポットの印象が強いことが特徴。シングルカスク故希少性は高いものの、ニューポットの刺々しさが先行し、シンプルに味を楽しむには少々難があるイメージでした。

一方で、シリーズを重ねるにつれて熟成期間が長いものがリリースされるようになり、信州蒸溜所の原酒の成長を体感できる、一種の物差しとしても楽しむことができるという、マニアには堪らないシリーズでもあります。ただ、アウトターンの少なさや価格設定の高さからなかなか入手が難しく、またバーでも遭遇の機会に恵まれない(特に首都圏以外)ことが少々難点ではあります。

さて今作ギフチョウですが、シリーズとしては最長熟成の6年物(信州の貯蔵庫で熟成)。前々作のミヤマカラスアゲハ(信州4年熟成原酒)が比較的ニューポット感が強く、若々しい印象だったのに対して、今作ではしっかりと熟成感を感じられ、最初に飲んだ時は予想以上に良い出来だったことにかなり驚いた記憶があります。
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今回改めてテイスティングしましたが、やはりこれまでで一番飲みやすく、樽感・酒質ともに纏まってきているなーという印象。たった2年の熟成期間の違いで(勿論他の要素も多分にあるとは思うが)これ程までに変わるものかと感心した次第です。

私感ですが、再稼働後のマルス信州の原酒は、最初のピークが10年前後に来るのではないかと勝手に予想。ニューポットの棘が取れ、ウッディなニュアンスと良い釣り合いが取れるのではないかと考えています。
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ともあれ、今後の信州蒸溜所原酒の成長に大いに期待をさせてくれる良ボトルでした。

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